M42

ここでは僕が今までに撮影したM42たちをお見せします。
当初は、W/Bを自動レベル補正にまかせてなるべく処理は同じようになるように試みたのですが、色彩が浅く、判断がしずらいために、結局、それぞれ、色彩強調を適用しました。
また、撮影した光学系や、撮影時の透明度・露出時間など、条件が異なりすぎますので、色彩の傾向だけ見てください。
いろいろな色に表現されたM42たちです。
B460Po1R1.jpg Comet1Po1R1.jpg
B460,Po1,R1色素フィルタ。赤外カットなし CometT青色干渉,Po1,R1+KG3相当赤外カットフィルタ
M42-TokaiRGB.jpg M42ttl.jpg
Tokai製天文用RGB干渉フィルタ(Type1B,Type3G,Type3R) TTL社製RGB干渉フィルタ+EDMOND社製赤外カット
QV8000SX.jpg m42irqv.jpg
QV8000SX(WB:通常) QV8000SX 赤外カット除去(WB:電灯)
m42sl.jpg
Hα(R64),OV,Hβ

◆感想など◆

B460などのシアンに近い水色のフィルターを使った方法は、LRGB合成法登場以前にはよく使われた手法です。
入手が容易な干渉フィルタがなかったということもあり、B460,Po1,R1の組み合わせで撮影したことのある方も多いのではないでしょうか。

この場合、色彩表現上、かなりの犠牲を払うことが知られています。実際には、
・色彩が全体的にくすんでしまい、白っぽくなること(彩度をあげれることで救済は可)
・透明感がなくなってしまうこと
・干渉フィルタとの画像と比較して初めて気づきましたが、やはりその色分解の悪さから、一部の色彩を表現できていないことなどがあげられます。

反面、赤外カットフィルタを用いなければ、ですが、干渉フィルタよりもはるかに短い露出で切り上げることができます。
今回、久しぶりに使用してみたのですが、その速射性はB,Rは干渉フィルタの約2倍と判断しました。
LRGB法と併用すれば、さらに短時間でのカラー撮像が可能になるでしょう。 彗星など、どうしても時間が限られてしまう場合には有効な手段と成り得るかもしれません。

赤外カットフィルタを入れていないためか、赤い星の色はかなり誇張されて表現されるのも特徴です。
星団などで赤い星を強調したい場合に用いるのもいいかもしれません。ただし、LRGB法ではやや肌色がかった色彩になってしまいます(左画像参照)。
ちょっと意外だったのは、きちんと青い星も表現できたことです。これを見て、使える!との印象を強く持ちました。
低空の彗星が出た場合、使用してみようと思います。

なお、B460,Po1,R1の組み合わせにEDMOND赤外カットを入れた場合、どうも相性があまり良くないらしく、色彩が青味がかってしまいました。
昔の作例などを見ると、さらにLBB-12などを追加して、青味を抑えて、かつ色分離性をあげていたようです。 しかし、赤外カットなしでこそ威力を発揮する組み合わせかもしれません。

さて、Po1,R1にCometTと赤外カットを組み合わせた作例が右上のM42です。
この組み合わせの場合、CometTでは赤外線が多少漏れており、あまり好ましいものではありませんが、さすが干渉フィルタのはしくれだけあって、透明感があがります。

干渉系フィルタではTokai製と以前に誠報社で販売されていたTTL社製のものとを比較してみました。
この画像からは明確な差は見られませんでした。ただ、色素系に比べると透明感があがっていることが判ると思います。

QV-8000SXによるM42ではそのままではHα感度が低いらしく、青味が強い画像になってしまいました。
赤外カットフィルタを外すと、美しい冷却CCDチックな画像に一変します。ちょっと紫色が強いですけどね。

最後の画像はOVとHβ、R64フィルターを使ったもので、独特な色彩を描き出しています。 一見すると奇妙な映像に映るかもしれませんが、この画像においては、緑色は酸素の、紫色は水素の分布を示しています。

さて、最後に。
真実の色とはなにか。
個人的な見解ですが、色彩はフィルター、使う検出機(フィルムの銘柄も含めて)によって左右されます。
今回、いろいろな色に表現されたM42を掲示しましたが、これらはみな、このフィルタとCCD(KAF400L)を使った時と限定されますが、いずれも真実の色ということができます。


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