RB2色分解カラー合成


モノクロ冷却CCDカメラでカラー画像を得る場合、3枚ないし、4枚のフィルターを用いて、撮影しなくてはなりません。
意外と撮影に時間もかかりますし、フィルターの交換も手間がかかります。
これを少しでも短縮できないものかと、試してみたのが2色分解合成処理です。
RとBの2色から、フルカラー画像を得ようというわけです。

特別なことをやるわけではなく、撮影時はR画像とB画像のみ撮影し、三色分解合成時、Gのところには、RとB画像を加算平均したものを割り当てます。
G画像を撮影しない分、撮影時間を短縮できるわけです。
では、以下、作例を見ていきましょう。

    RGB三色合成画像     RB2色合成画像

作例はST7E+IDAS製三色分解フィルターで撮影し、カラー合成したNGC7331です。
左が通常のRGB三色合成処理、右がRB2色合成処理です。
意外なことに、両者の色彩の差はほとんど全くといっていいほどありませんでした。
これには驚きましたが、もっと驚いたのは、よく、見比べると、RB2色合成画像の方が若干ではありますが、滑らかなことです。
G画像の分、露出が短いにもかかわらず、です。
これには理由があります。
RB2色合成は、G画像にはRB画像を加算平均処理したものを用います。これがコンポジットと同様な効果をもたらし、滑らかな画像をもたらしたと考えられます。
LRGB合成時においても、色信号側のS/Nが良ければ、合成時のガウスぼかし量も少なくすることが出来、より高品位なカラー画像を得ることができます。
また、光害の影響をもっとも受けるのはG画像ですから、G画像を撮影しなくて良いということは、光害の影響を少なくすることができるともいえ、より短い時間で、S/N良い画像ができることが想像されます。
LRGB合成と合わせることで、より短時間でのカラー画像作成が可能となることでしょう。


いくら露出の短縮ができるからといっても、色再現性があまりにも劣るようでは意味がありません。
今度は、その点に留意して画像を見てみましょう。
上記画像は、一部切り出したものですが、星の色再現は、まず問題がなさそうです。どの星の色も2色で充分良く再現できています。
また、背景は、RGBよりもRBの方がざらつきが少ないことにも注目してください。

   RGB三色合成画像     RB2色合成画像

では、どんな天体でも、RBの2色で良いかというと、残念ながら、そういうわけではありません。
この画像は、NGC7640というアンドロメダ座にある銀河ですが、この銀河の中にはHII領域があります。
RGB画像では、薄いマゼンタ色に再現されていますが、RB画像では、色がトンでしまっています。
G画像はR,Bの加算平均したものなので、G画像にもHII領域が現れ、色が薄められてしまうわけです。
この手法は散光星雲や惑星状星雲などの輝線星雲には使えません。

◆まとめ◆
では、2色分解についてまとめましょう。

・G画像を撮影しない分、露出を短縮できる。
・R+B画像のため、G画像のS/Nが良く、滑らかなRGB画像となる(LRGB合成がやりやすい)
・光害地では、光害のため、S/Nが悪くなるG画像を撮影しないため、画質向上が見込まれる。
・星の色再現性は問題がない
・HII領域の色再現性には難あり。
・散光星雲,惑星状星雲などは使えない、散開星団,球状星団には向いていそうだ。
・系外銀河はHII領域の再現を狙う場合は、好ましくない。M64などHII領域がまず写らないことが判っている銀河には向いている。

と、いうとろこですか。う〜ん、あんまり使い道ないかな?



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