シェーディング補正


周辺減光など画像のムラをシェーディングと呼びます。
通常、冷却CCDカメラでは、シェーディングはフラット補正で補正しますが、
例えば、光害地で撮影した場合などには、光害による背景ムラが生じるため、
フラット補正では補正しきれないことが多々あります。
ここでは、その補正方法のひとつを紹介します。
処理にはステライメージ4を使っています。

画像はダーク、フラット補正後のものですが、背景に強く偏りが生じているのが判るかと思います。
これを補正したいと思いますが、ステライメージの周辺減光補正ではなかなか難しい。
そこで、以下の様にして補正したいと思います。

補正したいのは背景の偏りだけですので、
背景の偏りだけのマスク画像を作ることを考えましょう。

まず邪魔なのは星とそして星雲そのものであります。
これを除去することを考えましょう。
まず、星除去を容易とするために、ソフトウエアビニング4×4を行っています。


次に左画像の様に、中央値を半径20で行い、星を完全に除去しています。

もし、星雲が邪魔になるようでしたら、星雲のみを囲って、ぼかし−ガウスを半径10ないし、50くらいを使って、星雲を目立たなくしてください。

矢印アイコンのツールで囲むと囲んだ内部だけに処理を適用することが出来ます。


中央値でぼかしをかけた後は、ガウスぼかしを半径10画素位で適用して補正マスクのS/Nを向上させます。
画面解像度で、補間拡大して、元の画像サイズに戻します。
さて、こうして出来たのが、このマスク画像です。
Fitsファイルで一端保存しましょう。
フラット補正で、保存したマスク画像を指定して、補正したのが上の画像です。
ガウスぼかしで充分にマスク画像のS/Nを高めておきましたので、補正後もS/Nを損ねることはありません。
星雲と星を上手く消して、背景の傾向のみのマスク画像を如何に上手く作るかがこの処理のポイントになるでしょう。
レタッチをして明るい星や星雲はあらかじめ除去しておく方が良いかもしれません。


マスクによるシェーディング補正では、複雑なパターンの補正もできるのが、他の周辺減光補正処理とは違うところです。
下の作例では、ゴミはフラット補正で除去を行い、残ったムラ(光害と鏡筒の向きによるムラだと思われる)は、
シェーディング補正を行うことで対応しています。

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