ST8300M


ST8300Mは、SBIGが投入した新型カメラです。
このカメラの特徴は、ST402ベースのコンパクトな筐体にKAF8300E CCDチップを採用し、
また冷却機能も強化したイメージングに適したカメラとして仕上がっている点に尽きます。
また、一連のKAF8300採用カメラの中でも最安値の機種であり、かつ、実績が高いSBIGからの製品ということで非常に期待度が高い製品です。


EOS40Dと並べてみました。
ボディだけで比較するとほとんど同じくらいの重量と大きさでしょうか。
冷却CCDカメラとしてはコンパクトなボディです。
しかし、肝心の性能はどうでしょうか・・
実は、割と海外のサイトで拝見した画像は、割と残念な画質の映像が多く(綺麗だけど、露光時間が凄く長いとか、この露出でこの程度か・・・という印象でした)、実は少し心配していました。

イプシロン200に取り付けて撮像したM101の10分1枚画像です。ダークもフラットも行っていない画像です。冷却温度は-35℃。
急激に冷却能力が100%に達したりする不安定さはあるものの、冷却温度は外気温から-35℃程度までは冷える様です。
SBIG製としては非常に低ノイズに仕上がっており、安価な機種ながら、非常に力を入れた意欲作であることが判ります。
(と、いうよりも、これはKAF8300E CCDチップに依るところが大きいかもしれませんが・・)

心配していた感度面も、SXV-H9と比べてさほど遜色が無い印象で(町中だと若干、劣る印象はあり)、当初心配していた画質については、概ね問題が無いことが分かり、ほっとしました。


10分×6コマ をコンポジットした画像です。

暗い空の下で撮影していることはありますが、感度的には、十分、実用になりそうな手応え。
それよりも、困ったのは光軸です。今までは、SXV-H9で、これの1/4のサイズしか使ってなかったので、気づいてませんでしたが、光軸ズレと思われる星像崩れが目立ちます・・・orz
おまけにピントはシンチレーションが悪かったこともありますが、正確に合わせられた自信が全くありません、、
残念なのは、自分のスキルの方だったのでした(泣)
 
冷却温度は、外気温5℃程度ですが、-35℃まで冷却できました。冷却機能は強化されている感じです。
また、CCDの素性が良いのかSBIGとしては思ったよりも綺麗な画像が出ました。
さすがにSonyチップと比較するのは酷というものでしょうが、、、一緒に購入した焼津の御大はやや不満ありそうな感じでした。
彼もBJ-41Lをお使いですから、どうしても比較してしまうのは仕方ないですね。
おまけにローノイズと余計なことを言ってしまったので過度な期待をさせてしまった面もあります。
 
それにしても、このコンパクトボディによくぞここまでの性能を詰め込んだと感心してしまいます。
それでいて低価格ですから、まさにSBIGの意欲作、戦略機と言えるでしょう。

この性能であれば、国内販売価格でも価格性能比で考えるとお買い得感があります。

FL-80S+レデューサで撮像したM8です。
高精細画素と相まって、短焦点ながら、構造描写が見事です。

ただし、この望遠鏡も若干、光軸がずれているか、カメラの自重でスケアリングが多少狂ったのか、下側の星像が伸びています。
ラージフォーマットを活かすには、光学系のアライメントを含めた優れた技術を要求されてきますので、性能を引き出すのはなかなか大変そうです。

カラー画像化を図るには、LRGB合成を行うしかありませんが、専用フィルタホィールはφ36mmと中途半端な大きさで、
購入したとしても、将来性もなく(将来的によりラージフォーマットを検討することも考えるならφ50mmを考える必要がある)、
フィルタも限られる為、購入は考えませんでした。
昔に使っていたスライド式アダプタは、φ34mm径のフィルタを使っています。
これを使うことで、概ね問題なくカラー画像を得ることができるでしょう。
取り付けリングを知人に依頼し、作成して貰いました。

これで撮影してみようかと思っています。
また、けられを覚悟の上で中心部のみを使うというのもアリでしょうから、焼津の御大に依頼して、FilterWheelを取り付けられる様にリングを切削して貰いました。やはり4スミは大きくけられますが、F5.6程度の光学系なら概ね実用になりそうでした。

ただ、正直、ここまでKAF8300Eカメラが良い性能であるのなら、正直、QSI583wsgを検討した方が良かったかな?と多少、後悔している面もあります。
φ31.7mmフィルタが使えることは自分にとっては大きなメリットがあるからです。各種フィルターが揃っていますので・・・。
もっとも、ST8300Mでも、蹴られ覚悟の上で使うことはできますから、いろいろと撮影して、使いこなせる様に頑張っていこうと思っています。


(2011.5追記)===================================================

ST8300Mをこれまで使ってきて感じたことを書いてみると・・
・キメが細かい 
画素サイズが5.4μと微細なことがありますが、非常にキメが細かいです。
・感度はめっちゃ低い
特にF値が6を超えてくるとエアリーディスクが肥大して光が1画素に集中して受けられない点が大きいのでしょうが・・・感度は凄く低く感じます。
ただ、キメの細かさもあって、プリントする分にはさほど気にならなくなります。
GENESIS SDF 540mmF5.4 10分×8枚のコンポジット像(ピクセル等倍)
コンポジット合成後ですが、結構、荒れています。
ST8XMEではコンポジット前の1枚画象って感じの画象です。
こちらは上の画象をステライメージで3×3ソフトビニングしたものです。
ソフトビニングをかけると凄く見違えてきます。
これはプリントでも同じで、画素数が800万画素ある為、思った以上に滑らかに印刷されます。
ビニングといえば、フォーカスモード時の様子を観ている限り、どうも、ハードウエアでのビニングは効果が無い感じです。後からステライメージでソフトビニングしてもほぼ同じ結果になりそうです。
なので、ボクの場合はST8300MではRGB側も1×1で撮像しています。
実際散光星雲ならそれでもいいかなって感じ。
左:MT160+レデューサ SXV-H9 10分1枚画象(ダークもフラットもやってないかも・・) 透明度6/10 自宅にて
右:MT160+MPCC ST8300M 10分4枚画象 透明度2/10 獅子ヶ鼻公園にて 
透明度はもとより、光学系の構成も違いますが・・
感覚的にも、こんなイメージで、コンポジットして、やっと、ST8XMEやSXV-H9の1枚画象に追いつけるって感じ。
ただ、キメが細かい荒れで800万画素ありますからプリントすると立場は逆転する可能性はあります。
しかし、これでは、画象復元処理等はとてもできません。
やはり、どちらかといえば、系外銀河にはあまり向いていないカメラと思えます。
と、いうのも長焦点・クローズアップでは、デコの威力はかなり大きいからです。
ST8XME+VISACでの例ですが、画象復元の効果を示します。
VISAC+NPR1073レデューサ F7.3 8分×13枚の画象です。
復元効果で微細構造が浮かびあがってきました。
が、この処理は兎に角、元画象が滑らかでなければとても使えません。
ST8300Mでの画象ではこの路線はちょっと苦しい気がします。もっとも、F値が明るい光学系を使ってしっかりと時間かけて撮影すれば、対応はできそうな気がします。
MT160+MPCC ST8300M  8分×15コマ 自宅にて
3晩くらいかけて撮影してデコった例です。やはり被写体と枚数でリカバリーはできます。
でも、ST8XME使えば1晩分でも同じ結果が得られるよおな・・ (^^ゞ
なかなか悩ましいところです。
やはり、どちらかといえば、散光星雲向きのカメラという印象です。
あとは以外とフォーサーズフォーマットといえども、モノクロCCDの切れ味もあって、APS-Cサイズのデジカメ以上に高性能の光学系が必要な感じです。
一応、そこそこで自分の手持ちで使えそうな機材は
・MT160+MPCC (F値がもう一歩明るければ・・)
・GENESIS SDF (ただ、1点固定の為、片ボケ生じる・・)
この2つくらいかなぁ・・
イプシロン200は周辺部でかなり星像がぼけてしまいます。旧補正レンズに戻せばあるいは・・?
そういえば、これは実験してませんね、、、
あとはVISACでは間違いなく使えると思いますが、いかんせんF9では・・・専用レデューサを使えばいいかも・・?
兎に角、光学系を想像以上に選ぶなぁって感じ。ちょっとナメてました (^^ゞ
遠天のST8300Mメンバーの機材構成でいくと、
I先生がFSQでしょ、Sky90でも使えるとは思いますけど・・
ミューさんは、Baby-Q、FS128,イプシロン160だもんね。
焼津の御大はそれこそ機材持ちなので、なんでもござれですケド・・・。
みんないい機材使ってるなァ・・。
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