ケンコーミラーレンズ500mmF6.3DX


ミラー望遠レンズは、昔、ロシアのMCルビナーを使って以来、欲しいレンズの1つでした。
然し、ルビナーは取り扱っていたカサイやKing2でも取り扱いを停止してしまい、国内での入手はほとんど不可能になってしまいました。
ところがあるとき、ネットを見ていたところ、ケンコーから、ミラー望遠が出ていることが判りました。
しかも、白レンズです(笑)!
なかなかカッコイイじゃあないですか (≧∇≦)ノ彡 バンバン

しかし、天体写真適正はどうなのかさっぱり判りません。
いくつか検索してみましたが、残念ながら参考になりそうな天体写真の作例はありませんでした(月などの作例は見つかりましたが・・)

値段もそう高いわけではないし、一般撮影用としてもまあ使うこともあるかもしれないし・・
と、いうことで、某掲示板でも唆されたことだし(笑)、いっちょヒトバシラーになりましょう!・・と、ポチったのでした。

まずは価格.comで検索かけて、一番安かったところから購入しました。
購入価格は、22498円(税込み)で、Tリング1ヶ付きでした。
とりあえずCanon用で購入っと。使うのはS3Proでと思ってるんですけどね。

物品は注文を入れて一週間弱くらいで送られてきました。

早速S3Proにつけてみました。
おー・・なかなかカッコイイじゃあないですか!
白い鏡胴に金色のKenkoのプレートがなかなかにおしゃれ。
ピント合わせもスムースに滑らかに行え、また、その重量は非常に軽量!707gとのことですから、昨今流行の、小型の高性能屈折望遠鏡の
さらに半分くらいの重さしかないことになります。
またこのコンパクトさは、遠征・・とりわけ海外遠征での強い味方になってくれることでしょう。
500mmF6.3ということは、口径も79.4mmあることになり、まず十分な口径があると言えるでしょう。

気になる性能ですが・・・この夏はどうしたことでしょう。なかなか晴れてくれません。
やっと撮影できたのは、8/3になってからで、しかもこの日は、生憎と明るい月が煌々と輝いていました。
月夜に光害が残る自宅からでの撮影となりましたが、まあ、逆にいえばテストには十分か!?
テストには、冷却KissDNを使って行いました。なんかいかスナップ撮影に使ってみて、ピントが非常にシビアーと感じていたので、
S3PROのライブビューだけでは心許なかったこと、この暑さでは冷却無しでは苦しい面があることを考慮して、いくらテストといえども、
画質面での配慮は必要と思ったことからの使用です。
レンズ端はM42ネジ切りとなってますので各社のTリングが使えますから、そういう点ではカメラを選ばず、有効に活用できる点も良いですね。

さて、撮影結果です。

左上  右上
左下 右下

ISO200設定にして、露出5分で撮影した1枚画像です。ダークとフラットは、ステライメージ6にて実施してます。
さすがに月もあったこともあり、フラットはあまり一致していませんが、星像の様子は十分に把握できることでしょう。
ご覧の通りで、APSサイズの際周辺でもなかなかに優秀です。
ビクセンのFL80S+専用レデューサと比べるとあきらかに周辺星像は上回っています(意外とAPSサイズを満たすというのは難しいのですよ・・)
望遠レンズとして作られている本機では周辺像も良く、また、施されているコーティングが良いこともあるのでしょう。
ルビナーの様にあからさまに暗い!という印象はありませんでした(と、いっても比較したわけではなく感覚的なものですが・・)
当たり前ですが、色収差は皆無と言って良く、星の色が良く出てくれます。

M27 Kenko ミラーレンズ500mmF6.3DX CooledKissDN 自宅にて。 ISO200設定 5分×8コマ ステライメージ6にてソフトビニング2×2

流れていた画像も足してはいますが・・明るい星は周辺近くではやや歪む様です。ただし、微光星は芯がしっかりとしています。
これは、CanonのLレンズもそうなのですが、ボケ味を考慮した設計になっているからかもしれません。
微光星はカチっとしていますが、柔らかいボケを出す為にあえて、周辺に収差を残している・・そんな感じがします。
しかし、中心像はシャープです。

さて、テスト撮影を1回行っただけですが、わずか2万円ちょっとのレンズなのに、非常に優秀で驚きました!
小型軽量で取り回しが良い点、安価な点、APSを十分に満たす性能、色収差無し。これは買い!でしょう!
欠点としては、500mmの焦点距離があるにもかかわらず、カメラ側のネジで固定するしかない点です。1/4インチネジ1点固定では、
やはり長時間露光を行う天体写真では不安が残ります。
実際、今回、ガイドは半分くらい流していました (つД;)
本機で使うには固定方法に一工夫必要そうです。
いくらコーティングが良いと言っても、所詮F6.3です。暗いですから、1回あたりの露出時間は伸ばす必要がありますから、
ガッチリと固定して長時間露光に耐えられる様にしなければなりません。

また、一般撮影でも感じていたことですが、案の定、ピントは非常にシビアーです。
MaxImDLで星像を見ながら合焦するのであれば問題は無いと思いますが、ライブビューだけではピンぼけ画像を量産しそうです。
S3PROで使う場合には2穴法などビジュアル的に判りやすい手法を使って合焦するしかないでしょうね。

それにしても、これだけの性能を有するレンズが2万円ちょっとなのですから、驚きを禁じ得ません。
いやーいい買い物したなあ (o^-')v

なお、ネットで調べてみたところ、同じミラー望遠でも500mmF8の方は性能はあまり芳しくないようです。
500mmF8はEDガラスを使ったものも同じくケンコーから出ています。
こちらはイマイチ、デザインが宜しくなかったのと、F8はさすがに暗いだろうと思い、手は出しませんでしたが、
考えてみると口径63mmのフラットフィールドなED屈折望遠鏡が3万円程度と考えると、これまた興味深い製品です。
また、800mmF8ミラーレンズもラインナップされています。口径10cmF8のカセタイプ・・・!!
こちらも興味が湧きますが・・さすがにF8は暗すぎるだろうと自重(笑)

500mmF6.3にしろ、800mmF8にしろ、この重量と性能は海外遠征の強い味方になってくれることマチガイないと思います。
エータカリーナは明るいですから、800mmF8でも十分に写ってくれそうですし、ね。
タランチュラ星雲などの撮影には短焦点とはまたひと味違った写真を写すことが出来そうです。

いずれにしても、1本持っていて損のないレンズだと思います。

下はS2Proに取り付けて撮影してみた写真です。
一般撮影では良くも悪くも、このリングぼけと浅い被写界深度を上手く利用する必要があると思います。
焦点距離の割には、割と寄れる点もこのレンズを魅力的にしている点です。
しっかし、ピントが難しい上、500mmにもなるとカメラのファインダーを覗いても一瞬、どこを見ているのか判らなくなって、大変なことになっちゃったり・・σ(^^;
鳥を撮影されてる方は良く上手く撮れるなぁ・・と感心してしまいます。その辺り技量と経験が要求されるところなのでしょうね。

何にしても、工夫のしがいがある、面白い高性能レンズです。

いろいろと考えて、最終的に、このレンズは、ムトウCV-16MEと組み合わせて撮影してみようと思う様になりました。
作例はこの夏に・・と思っていたのですが、天候が相変わらず悪く、未だ撮影できてません、、

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