FlatAideの使い方と小技


先日、ぴんたんさんのブログを拝見していたところ、ムラのひどい画像を自作ソフトで一発で綺麗に補正した作例がでていました。

FlatAideのダウンロードは、ぴんたんさんのホームページからダウンロードできます。

僕も、ASC-11やオライオン30cmで撮影した場合、どうしても斜鏡のカゲと思われるリング状のノイズが出てしまい、
毎回困っています。

オライオン30cm反射望遠鏡+MPCC ST8XME冷却CCDカメラによる自宅での画像

より空が暗いところでの撮影や、フラットフレームの高精度化を図れば良いのかもしれませんが、実のところ、ASC-11はミラーシフトでミラーが動くし、オライオンはたわみも生じるし、で、実のところ、このような構造上の問題がある場合にはフラットフレームの高精度化は容易ではありません。
そのため、フラット補正後に残ったムラは毎回苦労して補正していたのですが、ぴんたんさんのソフトのお力を借りれば、相当その苦労が軽減しそうでしたので、無理を言って、配布をお願いしたのでした。
わずか数日で早急に対応してくれたぴんたんさんにはとても感謝!!
早速使わせていただいています。

ここでは、フラットエイドの使い方とちょっとした小技?を説明します。


まずはフラットエイドを立ち上げ、TIFFファイルを読み込みます。
【星像検出】ボタンを押すと、


星検出エッジと、星判定濃度の設定を変更できます。
星検出エッジしきい値 で星をマスク(水色)
星領強制判定濃度で、星雲をマスク(紫)

これで、星と星雲はマスクし、背景ムラのみの画像になるように、星検出エッジと濃度判定のパラメータを試行錯誤してみてください。
星検出の作業をスムースにする為に、シェーディング倍率ビニングは、2に設定してください。
なお、上の画像で適用している数値は画像によって大きく変わりますので、ここの値は気にしないでください。
常に試行錯誤を行い、最適値を求めることが大事です。


次に【星像消去】を押すと、
マスク画像を作成してくれます。

次に【編集】を押して、マスクの加工に入ります。
たいてい、細かな部分の修正を行う為に、ガウスぼかしの半径を大きくとって、背景ムラのみの画像になるように、加工するのが良いです。

この様なムラのマスク画像を作成してください
星や星雲が写っていた場合は、レタッチソフト等で消去してからガウスぼかしをかけるか、
ステライメージで行う場合は、まずは、ソフトウエアビニング4×4を適用した後(S/N向上も目論む)、ガウスぼかしを半径20〜50と大きく適用すると良いでしょう。その後、サイズを元画像と全く同じサイズに、画像−画面解像度で、縦横比を場合によっては、自由に変更して元画像と同じサイズにします。



さて、作成したシェーディング画像を使って、元データのムラを補正する訳ですが、やり方はいろいろとあります。
Psで使うなら、元データの上にシェーディング画像をレイヤーでのっけて、シェーディング画像をイメージ−色調補正−階調の反転を使って、ポジネガ反転した上で、レイヤーの合成方法を通常⇒乗算を使えば補正されます。

Psでの補正例 乗算を使う場合

もちろん、多彩なPsですから他にも方法があるとは思いますが、レイヤーの合成方法で、除算はあるのですが、これだと上手くいかなかったです・・。
そこで、シェーディング画像を反転して乗算(これで割り算と同じでしょ?)です。
もちろん、シェーディング画像を上手く作成することによって減算で綺麗に差っ引くことも出来るでしょう。
また、差の絶対値を使っても補正は可能です。

Psでの補正例 差の絶対値を使う場合

この場合、シェーディング画像は反転する必要はありません。
その代わり、明るさがかなり暗くなりますから、元画像の方に明るさ・コントラストを調整レイヤーで入れて、明るさを上げます。
Psだとホントいろいろな手法が取れるので、面白いですね。
個人的には、どちらかというと反転−乗算の方がS/Nの犠牲がすくないかな?とは思います。
しかし、レイヤー上では8bitに落ちている(と、聞いたことがありますが、今もまだやっぱり8bitなんでしょうかね?)こともあり、できれば、やはりハイビット上で処理してしまいたい気がします。

一番簡単にみなさん、思いつくのはステライメージで、シェーディング画像をフラット画像とみなしてフラット補正することでしょう。
ところが・・・

ステライメージ6.5で、FlatAideで作成し加工したシェーディング画像を使って補正すると、こんなことに・・ (;×;)
ありゃりゃ。
でも、あわてない、あわてな〜い。
Tiffで保存すると16bitで保存する時にScalingされてしまい数値が正常に反映されていないからか・・・なんらかの問題があるのでしょう。
そこで・・・
@まず、画像−複製で、元画像を複製します。
A複製した元画像の明るさをレベル調整でちこっと詰めます(明るくします)
B合成−コンポジットで『比較(暗)』を用いてシェーディング画像と合成します。


元画像には星や星雲などの情報とムラの情報がありますが、この方法を採ると、レベルを詰めたこともあり、ほぼ完全に、シェーディング画像に置き換わります。
暗いデッドピクセルは残りますから、この後で、ガウスぼかしを20Pixほどで適用すると良いでしょう。
そうして出来た画像を使ってフラット補正を行うと・・・

あ〜ら、不思議。
綺麗にフラット補正できちゃいます♪

うーん、帯状のバンドノイズが出てますね。バンドエイド、必要かも・・(爆)
カラーバランスは少し崩れているので、またホワイトバランスをとってあげないとダメですが、ムラムラ画像が綺麗に補正されました。

自宅撮影だと隣家の明かりで都度ムラも変わったり(当然フラット補正では上手くいかない)、かなり悩まされていましたからね〜
このテの小技は手馴れたモンです(笑)
・・・って自慢にゃならないッスね (´・ω・`)
暗い空としっかりした機材がほし〜い! 

今までは、シェーディングマスクを作成するのにいちいち、明るい星も塗りつぶしたり、いろいろと苦労していましたが、FlatAideのおかげでシェーディング画像作成が大幅に短縮できそうです。
ぴんたんさんには本当に感謝!!
光害地での撮影や強度不足の反射系機材での撮影画像にとっては強力な武器の一つになると思います。

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