フィルタマトリクス


たいていの画像処理ソフトには、カスタムフィルターの機能があります。
カスタムフィルターはたいてい、3×3、5×5、あるいは7×7のマトリクスから
なり、ここに適切な数字を置くことで、画素の周囲に重みつけを行って、
フィルターとして機能させることが出来ます。
観賞用天体写真としては効果的なフィルターは限られてきますが、それでも使い方を覚えておくと、
応用が利き、絵作りに役立てることができるかと思います。

特に天体写真向けとして重要なのは星像を整えるガイドミスキャンセラー(正式には一次微分)ですが、
それは別項ですでに解説していますので、そちらを参考にしてください。

このフィルタマトリクスは画像処理の基礎として広く紹介されています。
さしあたり、今回はシャープ系フィルターを簡単に並べておきますが、もう少し、種類を増やし、
作例や解説なども用意していきたいと思います。

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0 1 0
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Original カスタムフィルターのテストに使った画像です。
画像は処理済みのものですが、これにフィルターを適用していってみます。
オリジナル画像(処理なし)のフィルタマトリクスでの表現は、中央に1を置くだけです。

■ラプラシアン

0 -1 0
-1 4 -1
0 -1 0

ラプラシアンはエッジ抽出フィルターであり、残念ながら天体画像には向かない。
星の輪郭がしっかりと抽出されている点に着目。
残念ながら、ステライメージでは実行できないようです。

■Sharpen

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0 0 -1 0 0
0 -1 5 -1 0
0 0 -1 0 0
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Simple Sharp

単純シャープの例です。ラプラシアンと似ていますが、中央の値が5になっているところが少し違います。
中心に大きめな数字を置いて、周囲はマイナスの数字で埋めていきます。
ステライメージでは、正規化にチェックを入れておけば気にする必要がありませんが、
通常、全ての入力した値の合計値が1となるように設定します。
なぜ周囲にマイナスの数値を入れるのか。
このフィルターを適用した恒星のラインプロファイルをとってみれば判りやすいかと思いますが、
中央(恒星)の周辺は落ち込んでいるのが判ります。これが-1の値の効果ですね。
いわゆる黒ブチですが、つまりシャープ系フィルタというのは中央に高い値を入れて、
周辺は落ち込ませることによって、輪郭を強調するわけです。
イメージしやすいですね。

下はその他、シャープの例です。重み漬けのやり方によって効果が変わってきますので一度試してみてください。
ステライメージの場合、適用する輝度の範囲も指定できますので、上手く使うことで非常に良い効果を得ることができます。
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0 0 -1 0 0
0 -1 5 -1 0
0 0 -1 0 0
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0 -1 0 -1 0
-1 0 1 0 -1
0 1 5 1 0
-1 0 1 0 -1
0 -1 0 -1 0
0 0 -1 0 0
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-1 0 5 0 -1
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0 0 -1 0 0
0 0 -1 0 0
0 0 1 0 0
-1 1 4 1 -1
0 0 1 0 0
0 0 -1 0 0
0 0 -1 0 0
0 0 0 0 0
-1 0 8 0 -1
0 0 0 0 0
0 0 -1 0 0
0 0 -1 0 0
0 0 0 0 0
-1 1 2 1 -1
0 0 1 0 0
0 0 -1 0 0
0 0 -1 0 0
0 0 0 0 0
-1 1 2 1 -1
0 0 1 0 0
0 0 -1 0 0
0 0 -1 0 0
0 0 0 0 0
-1 0 6 0 -1
0 0 0 0 0
0 0 -1 0 0
0 0 -1 0 0
0 0 1 0 0
-1 1 1 1 -1
0 0 1 0 0
0 0 -1 0 0


■斜め微分

2 1 0
1 0 -1
0 -1 -2

斜め微分は本来はエッジ抽出の一手段として使われます。
天体画像には向いていませんが、ある特定の構造の強調描写には使うことが出来るかもしれません。

■Differential

0 0 0 0 0
0 0 -1 -2 0
0 1 0 -1 0
0 2 1 0 0
0 0 0 0 0
0 -1 -2 -3 -4
1 0 -1 -2 -3
2 1 0 -1 -2
3 2 1 0 -1
4 3 2 1 0
0 0 -1 0 -2
0 0 0 0 0
1 0 0 0 -1
0 0 0 0 0
2 0 1 0 0

いずれにしても、カスタムフィルターは上手く使いこなせば、意外と使える効果を見いだすことができるかもしれません。
ぜひ、一度遊んでみてはどうでしょうか。

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