改造一眼デジの偽色
35mm銀塩フィルムや冷却CCDカメラを脅かす存在とまでなってきました。
ε180に代表されるように、シャープな反射系アストログラフも復活の兆しを見せ、
今後ますます活躍していくことと思われます。
ところで、すでにお気づきの方も多いでしょうが、これら改造したデジタルカメラには一つ欠点があります。
それは、標準でついている赤外カットフィルターと共にローパスフィルタ(LPF)を取り外してしまうことで、
これの弊害が出てしまいます。
下に、自分が撮影したM3の例を示します。
見ての通り、色収差の様に左右に赤と青の色ブチが出来てしまったり、 深緑の星が出来てしまったりしています。 色滲みは色収差と思われるかもしれませんが、色収差であれば、どの星にもほぼ同じだけの滲みが生じます。 が、今回の場合同じ様な明るさの星があるにもかかわらず、滲みの量はそれぞれ異なります。 これがいわゆる偽色と呼ばれる現象です。 単板カラーCCDは、左の様にたいていベイヤー配列と呼ばれる市松模様状に並べられており、 RGGBの4つの画素を使うことで初めてカラーになります。 ところが、シンチレーションの影響が少ない焦点距離が500mm程度で、かつ優秀な光学系の場合、 星がほとんど1画素に収まってしまいます。 そうするとどうなるか。 ちゃんとした色情報を得られるわけがありませんね。 その結果として上に示した写真の様に緑色の明らかにおかしな発色の星ができてしまったりするわけです。 またベイヤー配列と星との位置によっては星の周りに色収差の様な色にじみができてしまいます。 通常は、ローパスフィルターを設けることで、たいていの一眼レフデジタルカメラでは偽色を防止(軽減)しています。 ところが改造一眼レフデジタルカメラの場合、ローパスフィルターが設けられていない為に、この様な現象が目立つ結果になります。 対策としてKenkoあたりのローパスフィルターを入れるというテも無くはありませんが、 ローパスフィルターは基本的に解像力が悪くなります。 その為、赤外カットフィルターと共にこの部分は、デジタルカメラメーカ各社の最重要機密ともいわれているほどです。 安易なフィルターを入れたところで星像が鈍るばかりで美味しくありません。 現状では決定的な対策はなく、画像処理で修正するしかないのではないでしょうか。 |