デジタル一眼レフと冷却CCDカメラの画質について


デジタル一眼レフと、冷却CCDカメラについて、以前にも述べてますが、
もう少し、実際の画質の違いについて見てみましょう。

下に揚げる写真は、光学系、撮影地こそは同じですが、撮影日、露光時間や画像処理などは異なりますので、
厳密な比較ではありませんが、個人的には2つのカメラの特徴をよく現していると思いますので、参考になるのではないかと思います。

◆共通条件◆
光学系:イプシロン200
撮影地:静岡県磐田市内 自宅にて。
フィルタ:LPS-P2使用

EOS Kissデジタル改(赤外カット改造)
冷却CCDカメラ、SXV-H9 IDAS TypeU LRGBカラーフィルター

一見してまず違うのは、なんといっても、淡い部分の描写でしょう。
冷却CCDカメラが町中からであっても、非常に淡い星雲まで描き出しているのに対し、EOSKissデジタルの作例では、淡い部分の描写に大きく不満を残します。ただ、この部分は暗い空の下で撮影することで、大きく改善が期待できる部分ではあります。
しかし、逆に考えれば、一眼デジタルカメラは悪条件に弱いと捉えることも出来ます。
もっとも、そうはいっても天の川などとうてい望むべくもない空でここまで写るのですから・・!

次に大きく異なるのは色彩でしょうか。
冷却CCDカメラに色分離特性に優れた原色干渉フィルターを用いることで、僅かな色の差を大きく強調することが出来ます。
一眼レフデジタルカメラによる作例では、彩度も抑えめの処理ですが、これは、彩度を高めると、デジタルカメラのノイズも強調されて色ムラとなってしまうことも影響していますし、これ以上彩度を上げると破綻してくる部分がある面もあります。
もともと、系外銀河というのは色調に乏しいのが実際です。
つまるところ、冷却CCDカメラによる作例よりも、実際に即した色に表現している、つまり、色再現性に優れているのがデジタルカメラと言っていいのではないでしょうか。
とはいえ、個人的には、豊富な色合いを表現している下の写真の方が好みです。
こういった豊富な色彩の写真を撮影したいのであれば、冷却CCDカメラの方がお勧めだと思います。

星雲の構造を見ると、解像力(分解能)の違いも判ることでしょう。
ただ、この部分は、EOSKissデジタルが約8μ画素に対し、冷却CCDカメラ、SXV-H9は6.45μと高精細画素ですので、SXV-H9の方が本質的に分解能に優れてはいますので、その点は鑑みる必要があります。
そうはいっても、モノクロセンサならではの切れ味と分解能は冷却CCDカメラに分があると思います。

そして階調の滑らかさの違い。
なんといっても、これが冷却CCDカメラと一眼デジカメの一番大きな違いとなるでしょうか。
これはS2PROの時にも感じたことですが、やはり一眼デジカメでは、感度が不足気味でノイズが大きい為、階調の滑らかさという点で、大きな差が出てしまいます。
星雲の淡い部分のざらつきはもとより、Kissデジ画像では、星雲のやや明るい部分でも、階調の滑らかさを欠く様に見えます。これはノイズが大きいからに他なりません。

もっとも、そうはいっても、画面上でこそ、差を感じるかもしれませんが、デジカメの画素数をこの程度の差などプリントでは全く問題にならないことは以前に述べた通りです。


以上、EOSKissデジタルと冷却CCDカメラとの画像を比べてみました。
感度、解像力、色彩、階調、耐光害適正。
冷却CCDカメラと一眼デジカメでは画面上での画質の差があるのは間違いありません。
ただ、それが価格に見合うだけのものであるか、ということと、
画素数の少なさからプリントでは画像品位が逆転してしまうことは以前に述べた通り。
それでも、冷却CCDカメラを選択するだけの価値を見出すことができれば、間違いなくオススメの機材です。

理想を言えば、超多画素冷却CCDカメラとなるのでしょうが、そう考えた場合によりいっそう大きな価格差をどう考えるかでしょうか。

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