冷却一眼レフデジタルカメラ


CANPでご一緒していつもお世話になっているKさんから、メール。
冷却KissDN買わない?とのこと。
価格も自分としてはナットクがいくものでしたので、ほとんど二つ返事で買っちゃいました σ(^^;
いや〜、こういうキワモノ(2007年6月の時点では)好きなんですよ〜。

さて、これが韓国産冷却KissDNです。
ベースとなってるのは、Rebel350D(EOS KissDigitalNの海外名称)です。
正式名称は特になく、CooledDSLRだそうです。愛称としては『冷やしキムチ』と呼ばれています。
手前に出ているのは電源へ接続するケーブルです。

バッテリーのところに入れて、DC12Vを直接加えます。
これは大変便利で、KissDNでは旧機種に比べてバッテリーの容量が減じたそうですので、天体撮影では不安を残しますし、かといって、ACアダプタでは、DC-ACインバータを使う為、電源のロスを生じますから、これは以外と大きな利点です。


これがクーリングユニットです。
基本的な設計思想としては、カメラ内部から銅板を使って熱を伝導させ、
この外部クーリングユニットで銅板を冷やすことにより、カメラ内部を冷却します。
このユニットは、D-sub9pinのコネクタでカメラ部と接続するようになっています。
真冬などでは天然冷却で充分に実用になるので、この重たいユニットを取り外して使うというのも一つの手かもしれません。

ペルチェ素子は、ある程度制御できるように設計されています。
右下にあるつまみでペルチェ素子へ印加する電圧を制御していると思われます。
しかし、フルパワーにしたからといって、必ずしも最大冷却になるとは限らないでしょう(未確認)
と、いうのは、ペルチェ素子は、放熱とのバランスを取って初めて効果があがるからです。
たいていは、左から二目盛くらいのところで使っています。
これで、外気温から10〜15℃ほど冷やすことが可能です。

冷却するということは、結露を生じる要因にもなります。
このカメラはその点にもちゃんと留意されています。
ヒーターを内蔵して、結露しやすいガラス部をほのかに暖めることで対応しています。
左上のHeaterのON/OFFボタンがそれです。
その分、電気は消費するわけですが、やはり安心した撮影を行う為に常にONですね。


■作例紹介

まだ余り撮影していないのですが、いくつか作例を揚げましょう。

Nikkor24mmF2.8開放 露出1分 固定撮影

実はファーストライトは固定撮影だったります。九州の某氏といっしょですね(^^;)
もっとも、こちらは露出は1分だけですけど・・・。
夏場だと山の上でもかなりの暑さですが、カメラ内部は10℃近くまで冷えました。
外気温ー15℃ないし-20℃まで冷やすことができるようです。

そのおかげもあって、旧Kissデジタルに比べ、ローノイズ性を実感することができました。
少なくとも、同じ時に知人が撮影していたオリンパスのE-1に比べるとずっとノイズが少ないです。
Nikkor24mmF2.8開放 露出5分

画像の真ん中少し上を切り出してピクセル等倍で見てみましょう。
ダーク減算はしましたが、ノイズが残ったり等の悪影響はないようです。
ただし、このNikkor24mmはニッコールレンズの中では色収差が少なく、非常にシャープな星像であることから、
偽色が目立ちます。
これは改造DSLRでは仕方ないことかもしれませんが、さすがに、カラフルすぎますね。
NGC281 NA140SSf VRフィルタ+LPS-P2 10分×2

雲間からの撮影になってしまい余り露出をかけられませんでしたが以外と写ってくれました。
馬頭星雲 NA140SSf VRフィルタ+LPS-P2

散光星雲については、赤も青も良く写り、冷却CCDカメラと比較してもほとんど遜色がないと言っても良いでしょう。
非常に見事な写りに感嘆しました。
NGC1042 NA140SSF F5.7 10分×6枚

うー・・ん、、正直なところ、10〜11等クラスの系外銀河には苦しいものを感じました。
散光星雲が非常に良く写っていただけに、この写りの悪さにはガッカリしました。
それなりの空のところ(少なくとも、当日、白鳥〜カシオペア〜ぎょしゃ〜ふたごまで天の川は見えていた)で撮影してはいるのですが、、、


こちらは、MT160+レデューサ F4.8 ST7ME 5分×8枚
光害がある自宅からの撮影です。光学系も空の状態も全く違いますから、比較には適しませんが、F値と露光時間から、考えると、
ほぼ、露光量的には上の画像と同じになっていますので、写りの差はそのまま感度の差と見ることもできます。
系外銀河に関しては、冷却CCDカメラに比べるとその差は非常に大きなものを感じます。

理由は簡単で、LRGBで撮影しているので、カラーCCDではRGBの3色に振り分けてる光量を、L画像で一気に取得しちゃうので、通常の3倍の早さで写るわけです(要するに感度3倍です)から、差を感じて当然なんですね。
散光星雲は輝線なのでほとんど差を感じないというのが大きな理由なのでしょう。

以前から述べていますが、もし万が一、モノクロセンサのデジカメが登場したら、冷却CCDカメラは本当に不要になるかもしれません。

と、いうわけで。
現時点に於いての個人的な感想としては、

@散光星雲は非常に良く写り、冷却CCDに匹敵するものを感じる
A画素数が多いので、プリントして楽しい。プリント時に苦しまない(1Mクラス冷却CCDでは毎回苦しむのでほとんどプリントは避けてます)
B短焦点・シャープな光学系では偽色がかなり厳しい
C冷却の効果は大きく、外気温から温度を下げるだけではなく、温度安定性も向上している。
D温度計を見ながらペルチェへの電流の強弱制御を行うことでさらに人為的に温度安定度を向上させることも可能。
EMaxImDSLRのおかげで撮影方法、操作性は冷却CCDカメラと変わらない。
F系外銀河の写りは冷却CCDカメラに比べ、残念ながら相当に劣る。11等クラスの銀河がもっと写ってくれれば・・・。
G以外と電気喰うなあ、、(感覚的にそう感じているだけで実際にチェックしたわけではないが・・・)

と、いう感じでしょうか。長所も短所も挙げましたが、参考になれば幸いです。

系外銀河の写りが悪いのがとても残念ですが、とはいえ、期待以上の性能があることは確認できましたので、
今後、長らく使っていくことになりそうです。

その為に、もう少しいろいろとしっかりとチェックしておきたいと思いますので、
次回はそのテスト結果などを示すことができれば、と思っています。

例えば、ISO400とISO1600での画質差とか、露光比による写りの違いだとか。
今後使っていく上でチェックしておいた方が良さそうですからね。
いろいろとチェックしてみようと思っています。

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