縦スジ問題
SBIGの冷却CCDカメラでしばしば耳にする問題の一つに、縦スジが生じるというものがあります。
この縦スジは、カラム欠陥(欄欠陥)に相当し、本来、KAF400/1600系CCDチップの場合、クラス2のCCDチップの場合には、
このカラム欠陥は生じない筈です。
ところが、SBIGのカメラには、しばしば、この縦スジが現れるようで、ユーザーの間で問題となっています。
縦スジは冷却をすると消えたり、ダーク減算で消える場合が大半の様ですが、残念ながら、黒スジが残ってしまうことも、多々あるのが実状の様です。
下図画像でところどころ縦に白く走っているスジが問題としているスジです。
-5℃ 300秒 生データ |
この縦スジはダーク減算すると、引きすぎる様で、右端のものは、黒スジとして残ってしまいました。
では、解決法は全くないのでしょうか?
手間はかかりますが、実は解決法はあります。
CCDOPSには、このカラム欠陥を補正するコマンドがあるのです。
左のようなダイアログで、黒スジであれば、TypeにColumnを選択し、 Column:のところには、カラムがある座標値を入力する必要があります。 座標値は、ステライメージなどでおおまかに求めておき、後は、実際に、実行して、綺麗にカラムが取れる座標をさぐる必要があります。(1画素くらいずらす必要があるかもしれません) |
上が補正結果です。
みてのとおり、いやらしい、黒スジは見事に無くなりました。
補正は、必ずダーク・フラット補正後の1枚画像(コンポジット前)に実行する必要があります。
1枚1枚にじっくりと書けないといけませんので、手間はかかりますが、CCDOPSで補正を行っていくことでちゃんと実用になります。
ところで、自分はCCDチップをKodakから購入したのですが、それには検査成績書が付属してきました。
それによると、右のややはっきりと残る黒スジは欠陥画素から生じていることが判りました。
とはいえ、自分のCCDはクラス2ですので、当然カラム欠陥ではありません。
成績書によると、カラムが生じているところにはポイント欠陥の記述があり、どうやらそこからカラムが生じている様です。
その他にもいくつもスジが生じていますが、これらに関しては、欠陥等の記述はCCDチップの検査成績書にはありません。
ちょっとした実験を行ってみました。 幸い、自分は、Mutou製CVシリーズも所持していましたので、CV-16にKAF1603MEを搭載してみました。 すると、件の縦スジは全く出ないではありませんか・・ 確認後、カメラを再びSTに戻したところ、やはりまた、縦スジは再現してしまいます。 これは、想像ですが、コダック社では、KAF1603MEに関しては、CCDチップの検査を1つ1つ行って、クラス分けを行っていると思います。 それにも関わらず、SBIGのカメラで絶対にあり得ないカラム欠陥が生じるのは、SBIGカメラに回路的な問題があるのではないでしょうか。 恐らく、コダックでチェックしているテストボードよりも質的に劣るため、コダック社の検査では見られなかったCCDの画素欠陥が縦スジとして生じてしまうのではないでしょうか。 CVは仮にも高品質を唱われていた製品ですから、 そのようなスジが生じなかった・・と考えられないでしょうか。 実際にそのようなことがあるのかどうか、自分には判りません。 しかし、いずれにしても、同じCCDチップを使っても、スジはSTでは発現し、CVでは出ませんでした。 但し、STでは万が一、スジが残ったとしても、手間はかかりますが、それを補正することが可能です。 |