カメラレンズを使う


冷却CCDカメラというと、ST-6以来、クローズアップ用のカメラ、という印象が強いです。
事実、確かに画素数的にクローズアップに向いているのですが、
画質はチョットおいておいてカメラレンズに取り付けるとこれはこれでまた楽しいものがあります。

いくつか作例を示しましょう。

IC2177 PENTAX 50mmF1.4→2
IDAS Hα
Sh2-240 PENTAX 50mmF1.4→2
IDAS Hαフィルタ
IC2177 Nikkor 135mmF2.8開放
SBIG Hαフィルター。
Sh2-240 Nikkor 135mmF2.8開放
SBIG Hαフィルター。

なかなか思ったよりも良く写るし、楽しいものがあります。
星像が周辺で歪むのは仕方がないのかな。もしかしたら、フランジバックが若干あってないせいもあるかもしれません。
いずれにしても明るいF値の威力で、ノータッチガイドで楽しく撮影できました。


望遠レンズ+冷却CCD撮影の問題点としては、


@色収差
これは、単色で撮るか、RGBごとにピントを出すか、
SC42もしくはSC46フィルターで波長制限をかけるか・・ある程度は対応できます。
明るいレンズほど、色収差は大きいので覚悟する必要があります。
左の作例は、Nikon200mmF2によるもの。
その点、ルビナーはもの凄くシャープでしたね。
ミラー望遠の勝利だなあ。
でもチョット、暗いのが難点でした。
昨今のやや明るさを抑えた
シグマの300mmF4EDや180mmF3.5は性能も折り紙付きの様で、
やや高価なのが難点ですが、冷却CCDでも充分な性能があるようです。
シグマ180mmは知人よりお借りしていますので、また近い内に撮影してみたいと思います。

A明るいF値によるアオリ(片ボケ)
B固定方法(たわみ)

これは200mmF2で凄く痛感しました。
冷却CCDと望遠レンズの双方を固定する専用プレート作成が必要そうです。
望遠レンズをプレートに固定すると重たい冷却CCDカメラがマウントにぶら下がる格好になるため、
どうしてもたわみが出て、結果、画像が片ボケしてしまったりするようです。
望遠レンズ側にカメラネジがない機種の場合も重たいレンズでは、対策が必要そうですね。
135mmF2.8までは問題ありませんが・・

でも、タムロン328はこんなこと感じたことないんだよな。
遠天の松浦さんより譲っていただいたものなのですが、彼が作成したマウントも最高に頑丈で良いです。
ピントロックもついてます。タムロン328は外観はボロかったけれど、もの凄く良い買い物でした。

C被写体導入
実は、もっとも困るのがこれだったりします。
冷却CCDカメラでは一眼レフとは違ってファインダーが覗けませんので、
被写体を導入するのが案外大変です。

方法としては、今現在、Vixenの60sという軽量微動装置付きアクロマートを同架して、
ファインダー代わりにしています。
そうはいっても、一度は被写体を冷却CCD側に入れなければならず案外困難です。

カメラレンズの取り回しの良さを利用して、
まず広角レンズで視野中央に被写体を置いて、次に望遠レンズに変える・・という方法もOKかとは思いますが、
どちらにしても手間ですよね。
彗星撮像、とりわけ夕方に来た場合は準備期間が短いので、苦しいところです。

Nikon200mmやタムロン328は望遠レンズをプレートに固定できるので、直焦点アダプターで、
この問題は回避できます。

D画素数
一部の高価なラージフォーマット機を除いて、一般的に冷却CCDカメラは一眼レフデジタルカメラに比べ、画素数が劣ります。
その為、いかに良く撮影できたとしても、完成した画像をプリントすると星像の甘さが画素数の少なさでより強調されてしまいます。
対策としては感度と明るいF値を活かして、モザイク合成で画素数と視野を広げる方向性が考えられます。

モザイク合成の例
135mmF2.8開放 SBIG Hαフィルター。
淡いガスの流れがとても見事。カラーで元々の感度が低い一眼デジカメではここまで淡い星雲を写すのはまず不可能ではないかと思います。

別々の日に撮影した2コマを合成。サイズは50%に縮小しています。
月があってもそこはHαフィルターと明るいF値の威力。さすが、良く写ります。
F2.8は凄いですね。イプシロン180が気になってしまいますね。
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