ブルーミングの除去



10年程前、KodakのCCDチップでは、ABGタイプとNABGタイプとでは約2倍もの感度差がありました。
この情報はそれ以前ではさほど、考慮されておらず、単純に鑑賞用ならABG,観測用ならNABGと言われていましたが、Koadkチップに限っていえば、ABGとNABGで2倍の感度差はあまりにも大きな差です。
そのため、なんとかNABGチップを鑑賞用画像として応用できないものかと工夫をしたものでした。
ステライメージにもあるNBR合成は、岡野御大も独自に考えた手法だったのですが、その前にアイデアとして提案していた私の意見を尊重してくれて、雑誌・書籍にも名前を加えてくださいました。
実際に、運用して、NBR合成を実践されていたのは、香川のmotoさんでした(今は天文やめられていると思いますが・・)
その後、田中光化学工業のTaNaKaさんが、ソフトウエア補間によるブルーミング補正を提案され、その後、複数のソフトウエアで同様なブルーミング補正が実装されています。

しかし・・それ以前からあったSONY製インターラインCCDはもとより、その後、出てきたKoadkのKAIチップをはじめ、現状では、ABGタイプのCCDであっても十分に高感度特性を有しております。
そのため、あえてNABGタイプCCDを選択する必要性は薄れましたが、現代でもなお、NABGの感度は、ABG型CCDの1.5倍程あり、光害地での撮影や、より感度が欲しい撮影では大きな威力を発揮します。

さて、NABGタイプCCDでやっかいなのは、飽和した時に星が涙を流す、ブルーミングという現象があります。

ブルーミング

Bloom・・華が咲くという意味ですが、困ったことにCCDのブルーミングはそんなに美しいものではありません。
これがあると折角の作品も台なしですよね。
しかし、SBIGの標準のソフトウエアにはこれを補正するフィルターがあります。

Utility-Filter Utility-FixBloomingStreaks
を単に実行するだけで・・・


綺麗にブルーミングがとれました。
ただ、M42のトラペジウムの様に、近接した星がブルーミングしている場合や、離れていても、縦に2つある星でブルーミングが重なっている場合は、除去は不可能です。
したがって、撮影天体に制限が出来ることに変わりはありません(大幅に緩和されますが)

なお、MaxImDLをお持ちの場合には、DeBloomerというプラグインソフトがあります。
http://www.newastro.com/downloads/products.php
かつては有償ソフトだったこのソフトウエアも、ABG主体の現状を考えてのことでしょうか。
現状ではFreeSoftとして公開されています。

MaxImDLのプラグインとして登録してから、
メニューバーのPlug-in→New Astro Deblommerを選択すると、上の画像の右の様なダイアログが出てきます。

で、あとは、ブルーミング除去後の画像が表示されますので、これを見ながら、いじるとしたら、Paste adustでしょうか。
正直なところ、デフォルトのままで使ってます σ(^^;
DeBloomerの良いところは、開いた画像、全てに一括でブルーミング除去が適用できる点です。
おかげで、処理時間を短縮することができました。

なお、ブルーミング除去のタイミングとしては、
・ダーク補正→ブルーミング補正→フラット補正
の手順です。
フラット補正後では、周辺減光補正が行われる為、輝度情報が変化する為、端にブルーミングした星がある場合、上手く補正できないケースが頻発します。
ダーク補正前では、一見、上手くいくのですが・・・所詮補間処理ですので、ブルーミング補正した部分は情報が書き換えられます。そこからダーク減算を行っても、マッチングが取れませんから、S/Nを損ねてしまい、うっすらとしたブルーミング痕が目立つ結果になります。


この画像は、当時、最初にブルーミング除去してから、ダーク・フラット一括補正した方が楽ジャン!と横着したものですが、ブルーミング除去痕のS/Nが特に悪化しているのが判りますでしょうか?
まあ、原理考えたら、当たり前ですよねー。アホなことやってもうた・・ ~(=^‥^A アセアセ・・・
手間でも、Bestの補正を行うのであれば、 ダーク補正→ブルーミング補正→フラット補正→コンポジットの手順になりますね。

inserted by FC2 system