クローズアップACレンズを使う。


ケンコーから発売されているクローズアップACというフィルタがあります。
これは、元々は簡易マクロ撮影を目的としたフィルターなのですが、このレンズをレデューサー代わりに使用することが可能なことは、天文ガイドで岡野邦彦さんや、Gonさんが記事で書かれています。
これが安価ながらなかなかに優秀なレデューサーレンズとなるようです。
一般的には、シュミカセ、もしくはニュートン反射に用いるのですが、VISACの焦点距離のバリエーションを増やしたかったこともあって、無理は承知の上で、テストしてみました。
使用したのはクローズアップAC No2とNo3(以下AC2,AC3と略)です。

結果はごらんの通りで、充分、実用に足るシャープネスを保持していました。
星像もST7Eでは周辺まで崩れることなく、充分使えそうです。
但し、これまでの使用例から考えると、AC2+AC3をカスケード接続した場合、ややフォーカスが甘くなるか、あるいは取付時の光軸が微妙にずれる?と周方向に星像が崩れるようです。
AC2ではほぼ欲しい焦点距離(欲をいえば、1500mmが欲しいのだけど・・)となり、AC2のみマルチコ−ト仕様となっていることと相まって、今後活躍しそうです。

なお、焦点距離は、ステライメージにて、2点指定した後、直焦点画像をRGBとして、レデューサー入り画像をLとして、『サイズ調整』で画像の倍率を求めて計算してみました。

VISAC+AC3+S2PRO 30秒×9 JPEG保存

さすがに、平面像を提供するVISACにACレンズを加えるのは無理があるのでしょう。
S2PROでは周辺の像がかなり伸びてしまい、これでは使い物になりませんね。
CCDとレンズとの距離が伸びるため、縮小率もかなり上がってしまうようです。

なお、以下の式で焦点距離を求めることができます。
・合成焦点距離(f)
・望遠鏡の焦点距離(f1)
・レデューサの焦点距離(f2)
・焦点からレデューサまでの距離(d)


とすると、

  1/f = 1/f1 + 1/f2 - (f1-d)/(f1*f2) 

で計算します。

クローズアップACレンズは、 No2で500mm,No3で330mmとなっています。
Noの後に続く数字で1000mmを割ると焦点距離になります。

なお、クローズアップAC、てっきり反射系だけに効果があるのかと思いきや、意外にも屈折望遠鏡にも効果があるそうです。
いわゆるペッツファール光学系に近いものになるとかで、CANのタナカさんからも、ちゃんとした位置におかないので、完全なペッツファール和を得ることはできないが、収差低減のするかもね?やってみれば?とおスミ付き(?)を頂いていました。が、自分はなにしろ屈折はあまり使うことがありません。
いつもお世話になっている横浜のいこさんにお話したら、FS60Cで試して頂けるということでした。
彼の実験では、FS-60CにAC3を使うことで、S2PROでも周辺像がかなり、改善され、オリジナルレデューサーに近い性能を得ているようでした。
オリジナルレデューサー、小耳にはさんだ話では、ネットオークションで3.6万円もしたとか・・・。
ケンコークローズアップACレンズなら、せいぜい、数千円ですからねえ・・
性能差は価格ほどにないと思います。むしろ画質面ではケンコーACレンズの方が上かもしれません。マジで。
ただ、焦点距離は確か300mm程度だったと思いますので、縮小率という点ではオリジナルレデューサーが勝っています。

自分も今度BORG76EDで試してみたいと思います。

クローズアップACレンズですが、No2がマルチコートされており、最も良いと思います。
しかし、それでも補正効果が足りない場合は、No3を用いることになります。
また、No2+No3のカスケード接続で、No5相当になることがケンコーのカタログに明記されています。
No4,No5ではさらなる縮小率を得ることが可能となりますが、
少しNo4で実験してみたところ、レンズ自体が持つ収差(球面収差?)が大きく、シャープな星像が得られそうになかったことは記しておきます。
No5を使うよりは、No2+No3カスケード接続の方が良い結果が得られるのは間違いなさそうです。

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