サンニッパを使う


知人より、タムロン300mmF2.8望遠レンズ(通称:サンニッパ 以下328)を借用し、ST7Eと組み合わせて撮影してみました。 
F2.8の明るさと高感度のST7Eです。短時間露光でも充分な画像を得ることができそう。

最初に撮影した時は、ピントがシビアーで、ピント位置を探るのでかなりの時間をとられてしまいました。
CCDではバックフォーカスが異なるため、ピントが出ないのかとさえ思ったくらいです。
しかし、慎重にフォーカスリングを回していけば、ピントが合うことは確認できました。

328に関わらず、望遠レンズでの撮影で一番気になるのが、色収差です。
この点に関しては、328の後部フィルタに、UVカットを入れ、短波長をカット、さらにL画像撮影時は、赤外カットフィルタ併用で、可視光のみを透過することで、対処することにしました。
L37による色収差改善は大学の時に実際に試してみて、かなりの効果をあげていましたから、今回もその手でいこうというわけです。

さて、実際に撮影してみた、感想を先に述べますと、難しいな、というところです。
確かに、光学系のFナンバが明るくなれば、撮影は短時間露光で済みます。
F2.8ならF5.6の1/4の露出時間で同じ画像が得られますから、ガイドの面では楽ですし、階調豊かなデータを短時間で得られます。
が、立派な画像を得るには多くの問題をクリアしなくてはならないようです。
画像を見ていただきましょう。

Blue Green Red

三色分解したばら星雲の画像の一部を切り出したものです。 
まず、ひとめ見て判ることは、Blueの画像の明るい星が肥大していることです。つまり、色収差が残っていることを意味します。
次に、Green画像をよく見ると判るのですが、少し(かなり)ぼけています。また星像も崩れており、真円ではありません。
つまり、焦点深度が浅いためか、あるいは、色収差が大きいためか、Gのみちょっぴんとなっているわけです。
これは、Gのみフォーカスを合わせ直せば済むことではありますが、撮影の度、フィルタを替えるたびに合わせ直すのも少々面倒です。
特に速写性を期待したい、彗星の撮影には使えないということになってしまいます。 
使用しているのは、IDAS製のTypeVフィルタであるため、R画像でも明るい星が肥大してしまっているものと思われます。

R=2分×2,G=2分×2,B=2分×2 

上のカラー画像を見ると判りますが、やや明るめの星があると、それによってゴーストも生じます。
原色の緑色や青色のぼやけた像がゴーストです。
また、色収差が残っているため、輝星の周りが青紫色に染まっているのもおわかりいただけると思います。
しかしながら、短時間露光ながら充分な写りをしていることもよく判るかと思います。

結論としては、
・F2.8の速写性は非常に魅力的!!
・ピントがシビアー、色収差でGのピント位置がずれる。
・青はピントにかかわらず、色収差でぼける。
・露出が短いので撮影は楽だが色収差をうまく誤魔化す画像処理テクニックが必要

というところでしょうか。

実のところ、赤い散光星雲の撮影をメインにすれば、色収差はまだ改善できる方法はあります。
つまり、後部フィルタホルダーに入れているUVカットを、黄色いシャープカットフィルタに交換してしまうことです。 
こうすることによって短波長側の色収差を大幅に低減できるはずです。
489nmにはHβ光がありますから、できれば、Y46が欲しいところですが、一般的なY2(=Y48)でも充分です。
これはいずれ試してみます。

Gでのピントずれについても、赤い散光星雲であれば無視しても良いかと思います。
というのは、R画像を輝度信号として、LRGB合成(RRGB)を行うことで、Gが多少ぼけていても、あまり問題にする必要はなくなります。 
紫色になる色収差については、レベル補正や、Lab色調補正をうまく適用することで、色を適度に抜いて、見た目に自然な青色にすることもできます。
下はそうして作成したばら星雲の完成画像です。

F2.8はともかくとして、ST7Eでは大きめな散光星雲を撮影するには、300mmというのは欲しい焦点距離です。
しかしながら、望遠レンズでは色収差問題がつきまとってしまいます。
シグマ300mmF4APOでも色収差があるそうです。
そうなると、300mmという焦点距離を選るには、
・FS-60C
・ルビナー300 (ロシア製ミラー望遠:ホートンカセグレン)
しかないかな?
FS−60Cは色収差の点については、赤外カットを併用すれば、充分そうです。少なくとも短波長側の青色にじみは少ないことは確認しています。
しかし、残念ながら、レデューサーが現在、製造中止となっており、そのままでは、F6なのでいささか長めです。
ルビナー300mmについては、表示はF4.5ですが、副鏡がかなり大きそうですから、実効F値はもう一段暗めとみておく必要があるでしょう。
しかし、ホートンカセグレン式という立派な光学系が与えられているので、興味を引くところです。
反射式ですから、色収差が少ないことを期待したいのですが、果たしてどうでしょう?
また、値段も安いところも魅力的でいずれ買ってしまうかもしれません (^-^;)
その場合は、またレポートします。

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