火星


紅く輝く星、火星。
その色合いから、戦の神、マルスと呼ばれています。
火星は2年2ヶ月ごとに地球に接近し、公転周期による位置によって地球−火星間の距離が変わってきます。
その為、およそ15年周期で大接近・小接近を繰り返します。
また大接近でも細かいことを言えば、接近する距離が違い、2003年の大接近時には、およそ6万前と同等のキョリまで接近し、話題になりました。
とはいえ、実際には15年前よりほんのちょびっと地球に寄ってくれただけにすぎません。
また、火星には季節があります。
火星の南極・北極には白い極冠と呼ばれる氷(実際にはドライアイス)がありますが、冬になると大きくなり、夏になると小さくなります。
また赤道付近の夏の気温は20℃ほどとなり、火星人が存在するのではないかと言われたこともあって、SFでは格好の舞台となっています。

さて、火星を有名にしているのは、運河の存在でしょう。
19世紀の天文学者、ローウェルは火星表面の直線模様に注目し、これは「運河」であり、したがって火星には知的生命体が存在していると信じるようになりました。
しかしローウェルが見た、運河は、 残念なことに想像上のものでしかありませんでした。
すでに火星を訪れた幾多もの探査機によって運河の存在は否定されています。

現在のアマチュアの機材でも接近時には火星面の詳細を写すことが出来ますが、残念ながら、運河の様な模様はみあたりません。
当時、Webカメラがあったらよかったのにね。


2012年


2012年の火星
オライオン30cmF4反射望遠鏡 with PowerMate5× DMK21AF04/DFK21AF04

2年ぶりの火星です。今年はまだまだ少接近ですが、それでも、明るい火星は良く写ってくれます。
また、火星面の様子もさることながら、火星面上の霧が美しく、撮影していて楽しくなります。
今回の接近では、口径30cmのオライオンを使うことで、前回時よりもさらに切れ味良く写すことができるようになりました。


2010年


2010.1.29
MT160反射望遠鏡 withコレクターレンズ+BORG2.2倍エクステンダ DFK21AF04

火星をまじめに写すのは実に久しぶりです。一応、2005年接近時にも1回は撮影したハズですが、データが見あたりませんでした。
シンチレーションは決して良くありませんでした(本当はもう少し良ければモノクロカメラでIRフィルターで写そうと思っていました)が、画像処理していくと、
美しい模様が浮かび上がってきました。
赤く錆びた大地に薄暗い模様、白い極冠に青味を帯びた霧、この美しい豊富な色彩こそが火星の魅力でしょう。
DFKカメラは非常にカラーバランスが良く、その美しい色彩を余すところ無く見事に描写してくれました。


2010.2.5
15cmアクロマート屈折望遠鏡(米林鏡) with BORG2.2倍エクステンダ+メーカ不明2倍バローレンズ DFK21AF04

米林さんからお借りした、15cmF8アクロマート屈折望遠鏡による火星です。
なんと、20年ほど前(?)にレンズをご自分で研磨された望遠鏡だそうです。大変な貴重品だと思います。
15cm屈折望遠鏡など公共天文台にしかなかった最後の時代だったと思います。
それ以降はMeade社やカサイから安価な大口径屈折望遠鏡が出回る様になり、大口径屈折望遠鏡が身近になりました。
数年をかけて磨いたと言われるレンズは、某メーカーの立派な鏡筒に組み込まれており、撮影にも十分こなせそうです。
眼視でも火星が良く見えました。また暗い空の下で見たM42は非常に美しく息を飲みました。
EM-200に搭載して使いましたが、正直なところもう1ランク上の赤道儀でないとダメでしょうね〜
でもせっかくお借りした大口径屈折望遠鏡ですので、もう少し活用してみたいなと思っています。

それはさておき。
15cm屈折望遠鏡にDFKカラーカメラを取り付けて撮影した火星です。
いつものBORG2.2倍エクステンダにさらにCATで購入したメーカ不明のバローレンズを加えてみました。

バローレンズを装備していつもの2倍!
さらにもう一つ追加していつもの4倍!
そしていつもの3倍のスタック枚数を加えれば・・!

と、いう感じでやってみましたが、シンチレーションがねぇ・・
1枚ベールがかってるようにしゃっきりしないのは、シーイングのせいか、拡大しすぎなのか、アクロマートレンズならではの色収差のせいか、はたまた、バローレンズ2枚がけのせいか・・
色調はある程度補正していますが、色彩についてはさすがにカラーフリーの反射望遠鏡の方に分がある様です。


2010.2.20
ASC-11 メーカ不明2倍バローレンズ DFK21AF04

ASC-11による火星です。
悪シーイング時に大口径を使っても、あまり良いことはありませんね、、
写りそのものは悪シンチレーションでしたのでMT160で撮影しても同じ結果が得られたことと思います。
眼視では、小口径の方がシンチレーションに強く良く見えることがあると言われていますが、こと撮影に関しては、
悪シーイングなので、小口径が良く写った!ということは有り得ないと思います。
大口径の方がシャッタ速度が早く切れる為、最低でも小口径と同じ画像程度にはなる筈です。
とはいえ・・この画像では説得力ないなー (゚_゚i)タラー・・・
どちらにしても同じ程度の画像しか得られないならば、苦労して大口径を出す意味は薄いですね、、、


2010.2.23
MT160反射望遠鏡+コレクターレンズ+BORG2.2倍エクステンダ+メーカ不明2倍バローレンズ DFK21AF04

MT160による火星です。
火星も再接近を過ぎ、だいぶ小さくなってきました。同じ条件で、土星を撮るとその大きさの違いに改めて驚きます。
見えているのはアリンの爪あたりでしょうか。
火星は大きさも含め、嵐や霧など、変化に富んでおり、撮影していて楽しい天体ですね。
これまであまり撮影してきませんでしたが、興味深い被写体であることを改めて感じさせられました。


2010.2.24
MT160反射望遠鏡+コレクターレンズ+BORG2.2倍エクステンダ DFK21AF04

雲間から撮影した火星です。
高度があがるまで、とのんびりと構えていたら、雲がどんどん押し寄せてきてしまい、雲間からの撮影になってしまいました。
おまけに、こりゃ、ダメだと思って片づけたら、後から晴れてきたみたい、、おまけにシンチレーションも良かったとか (´;ω;`)ブワッ
ま、まあ、なんとか撮影できたのでヨシとしよう、うん。


2010.2.28
MT160反射望遠鏡+コレクターレンズ+BORG2.2倍エクステンダ+メーカ不明2倍バローレンズ DMK21AF04
RGBはDFK21AF04を使用

なんとか大シルチスを捉えることができました。
過去の画像と比べると、やはり2003年の大接近時は特別だったのだなぁと改めて思ってしまいますが、撮影できて良かったです。



2010.4.6
MT160反射望遠鏡+コレクターレンズ+BORG2.2倍エクステンダ+メーカ不明2倍バローレンズ DMK21AF04
RGBはDFK21AF04を使用

ずいぶんと小さくなったものです。しかし、なんとか大シルチスを捉えることができました。
今シーズンの火星は、これで撮り収め。また次回は2年2ヵ月後です。
前回、前々回の接近時はほとんど全く撮影しませんでした(少なくともお見せできるものが無い・・)が、今回は割と良く撮影しました。


2003年


2003.7.27
MT160+エクステンダ Or18 ToUcamPro

Webカメラで初めて写した火星ですが、その高解像ぶりにはあきれるばかりです。
確かに従来のカメラ/画像処理法を圧倒的に上回る解像を示し、驚きました。
ただ、小口径ゆえの感度不足を補う為に、赤外カットを外して撮影していたこともあり、なかなか良好な色彩を得ることができませんでした。


2003.8.23
MT160+エクステンダ Or18 ToUcamPro

恐らく、2003年接近時では、これがベストの作例になるでしょう。
IRCを無しで撮影している為、色調にやや難がありますが、極光と呼ばれる青い光も写すことが出来ました。

2003.9.5
MT160+エクステンダ Or18 ToUcamPro

このころになってようやくIRcutの重要性を認識して、IRCを付けて撮像しています。
ただ、EDMUND社のものを使って撮影していたようです。

2003.9.6
MT160+エクステンダ Or18 ToUcamPro

RGB+IR,G,B合成した作例です。RGBは普通に撮像したものを使っていますが、別途、IR84でも撮像して合成しています。
フィルタリングを行うと、画像は荒れるのですが、火星はIRでは模様をよりはっきりと描写することが出来ます。
とはいえ、IRでは火星の霧は写りませんから、IR光にLRGB合成というわけにもいきません。
従って、IR、G,B合成を行う必要があるのですが、それでもやや違和感があったため、通常のRGB画像も合成しています。
中央の模様は太陽湖。

2003.9.18
MT160+エクステンダ Or18 ToUcamPro

極冠近くに山があり、その山頂に雪や霜がおりるために極冠から離れた位置にぽつんと白く写ります。
また、模様はアリンの爪が見えています。


2001年

2001.4.23
MT160+エクステンダ Or18 QV8000SX

2001年に接近した火星です。
この頃はWebカメラはまだ無く、コンパクトデジカメの優位性が認識された頃でした。
カシオQV8000SXにて。

2001.7.08
MT160+エクステンダ Or18 QV8000SX

この年は、中規模ながら、黄雲がおき、模様が写らなくなりました。
それで、つまらない・・と、この年は撮影をしなかったのですが、改めて見てみると、どうしてどうして。
白い霧も良く出ておりそう捨てたものでもなかったな、と反省。 inserted by FC2 system