イプシロン200 SXV-H9  HeU=10分×14 OV=10分×26 Hα=10分×21

3種類のナローバンドフィルターで捉えた亜鈴状星雲です。
HeUはあまり聞かないかもしれませんが、波長468.6nmの輝線で、天文台での惑星状星雲の撮像には良く使われています。
天文用の高透過率のフィルターが市販されていないのが不思議なくらいです。
ここでは、EDMUND Opticsの狭帯域フィルター 中心波長467nm、半値幅10nmのフィルターを用いて撮像しています。しかし、残念なことに、透過率が45%程度しかありません。
輝線強度もそう強くはないのでしょうが、この透過率ではイプシロン200を持ってしても厳しいものを感じてしまいます。

M27には外ハロが大きく広がっています。Hα線での外ハロは海外でも撮像例を良くみかけますが、OV線でも独特の外ハロが存在しています(下の方のR200SSでの写真にもその存在が写っています)
今回は、その外ハロを写し出すことを主眼において撮影しました。外ハロ自体は、Hα線よりもOV線によるものの方が輝度が高く、良く写ってくれました。
また、三色全てをNarrowBandで賄っていますので、星雲自体の立体感と透明感が向上しています。

M27 H-alpha Image

水素ガスは、軽い元素であるためでしょうか、OVよりもより外側に複雑な形状のハロが出来ています。
M27 OIII Image

外側に広がるハロは、Hα線と比べ明らかに形状が異なります。
また、Hα線に比べるとやや明るめです。暗黒帯の様な鋭い切れ込みは、Hα線では明るく写る部分
で、カラー合成すると純色の赤色になります。
M27 HeII Image

さて、これがHeUイメージです。目立つ構造はありませんが、よくみかけるM27とは明らかに模様が
違います。
フィルタ透過率が悪いこともありますが、もともとの輝線強度も弱いのかもしれません。



VISAC反射望遠鏡withクローズアップACNo2  CV-16ME 

AOO合成を行った亜鈴状星雲です。
AOO合成とは、Hα線をRに、OV線をG画像とB画像に配置し、2つのフィルターから、フルカラー画像を得る為の手段です。
AはH-AlphaのA。本来なら、元素記号のHと記すべきではないかとも思いますが、、、
すでに定着している言葉に文句を言うわけではないですが、しかし、 そもそも、Hα、Hβ、Hγ、Hδ・・というのは再結合線であってOVやHUといった禁制線の呼び方とは異なりますから、 ちゃんぽんになってる、SAOやAOO合成という呼び方は違和感がいっそう増してきます。
海外では、SAOはHubblePaletteと言われている様です。
ナローバンドでのカラー撮像をHSTが初めて行った訳ではないでしょうが、納得が出来る呼び名だとは思います。

それはさておき。
この手法での最も大きなメリットは、星雲をコントラスト良く、かつHα線の高解像をそのまま活かした高S/Nのカラー画像を得られることです。


Hα Image OIII Image
RGB=Hα,OIII,B RGB=Hα,G,OIII

M27 Narrow Band Image
R200SS ST7E OIII=10分×10枚 Hα=10分×8枚 

狭帯域フィルターで撮影した亜鈴状星雲です。
惑星状星雲を狭帯域フィルターで撮影すると、構造が全く異なって写ることに驚きます。
とりわけHαでは通常の画像に比べ、非常に微細構造が抽出され、とても焦点距離800mmで写したとは思えないような解像感を与えてくれます。
この微細構造は天文台画像に使われているフィルタから判断すればHαではなく、NU(655nm,658nm)によるものと思われます。
また、通常では写らない、亜鈴状が破裂してはじけたような外ハロも写っています。
この外ハロもOVではまた形状が異なるのも面白いところです。
Hα線による外ハロの様子は左に示しておきます。
この外ハロまでS/N良く写すには相当な露光時間を要することでしょう。
また、内部構造と共に描写するのはなかなか骨が折れそうです。

さて、2種類の輝線があれば、あとは通常の三色分解用のGまたはB画像があればカラー画像にすることができます。
この場合、OVを青色とするか緑色とするかで、色彩が変わってきます。
このみの発色の方を選んで合成すると良いでしょう。個人的にはOVは緑色に配色する方が好きです。

なお、本来は青緑色であるOVを完全な緑、もしくは、青色として表現するわけですから、この画像は決してTrueColorではありません。
しかし、元々、天体の色は見えないものがほとんどですから、ある程度の見識を持って(例えば、波長順に配色する、天文台画像と同じ配色にする等)天体の表現のひとつとしてこのような色彩表現をしてみるのも良いのではないでしょうか。

あくまでもリアルカラーにこだわり、人間の目と同じ色調を求めたとしても、天体写真の場合はかえって面白味に欠ける結果に終わることが多いと思います。





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