M17 白鳥星雲

Orion30cm反射望遠鏡 with パラコアU SXVR-H694

いて座にある明るく大きな散光星雲です。眼視でも良く見え、首都圏の光害の中でも、白鳥が湖面に浮かぶような姿を見せてくれます。
街中で見る分には、夏の代表格である干潟星雲M8よりも、良く見えます。
暗い星空の下で、大口径望遠鏡とネビュラフィルターを用いると、ω星雲というもう一つの愛称の呼び名もしっくりときます。

視直径は46'×37'ほどの大きさで、散光星雲としては、比較的小さめということもあり、冷却CCDカメラでクローズアップ撮影するのにも向いています。
今回は、SXVR-H694冷却CCDカメラを、1380mmの焦点距離で撮影しました。
ギリギリ、収まるか否かというところですが、ディテール描写を主眼において撮影してみました。


M17 白鳥星雲

VISAC withAC2 LPS-P2使用 L=5分×4 R=5分×1 G=5分×3 B=5分×3 Hα=10分×7

VISACにKenkoクローズアップACNo2(φ49mm)を接続して、撮影しました。画像から測定したところ、焦点距離は約1439mmとなっています。
当日は、梅雨明けか?と思われる様な天気に恵まれ、実際、関東・甲信越ではこの日に梅雨明け宣言が出されたと記憶しています。
しかし、透明度は良かったのですが、時おり雲が出てきては被写体が隠される・・。
そんな状況で、R画像は使える画像が1枚しかありませんでした。
また、夜半前からは月が出てきますので、月明かりの影響と雲の影響を考慮して、夜半前からはHαフィルターに絞って撮影をしています。
L画像としては、Hαフィルターの成果も単純加算でL画像と加算しています。
R画像については、Hαフィルター画像と比較(明)合成を行って処理しています。こうすることで、星は自然な色調に出来ます。
(ただし、星の周りの色滲みを考えるともう少し、処理は考えた方が良かったかもしれません・・)
G画像については、IDAS-GフィルターではOVラインを大幅にカットしてしまう為、今回は、Gフィルターのみ、TTL社のGフィルターを使うことで、
OVラインの緑色を描出するように工夫しています。
もう少し青味が強くても良かったとは思いますが(星周りの滲みのせいで、上手く処理できませんでした・・)、フィルターワークの結果はきちんと出てくれています。
ガスのうねりの様子もさすが1000mmオーバー。上手く描き出してくれました。欲を言えば、もう少し星雲の構造を描出したいところですが・・・







M17 白鳥星雲

100SDUF屈折望遠鏡 L(R)=10分×2+5分×2 R=5分×2 G=5分×2 B=10分×2

いて座にあるM17です。白鳥星雲、馬蹄型星雲、オメガ星雲などいくつものニックネームがありますが、やっぱり小望遠鏡で見る分には、白鳥星雲がしっくりきます。望遠鏡で眺めた姿はまさに、湖面に浮かぶ白鳥で、その様子はやや光害のあるところでも見られます。町中ではむしろM8よりも立派に見え、夏を代表する散光星雲のひとつです。
距離は5200光年です。


M17 H-alpha


タムロン300mmF2.8望遠レンズ(⇒F4) Hα=3分×10枚

Hαフィルターを用いることでやはり星雲のコントラストが強調されます。
白鳥星雲の左側の淡い星雲がはっきりと写し出されているのを上の画像と見比べてみてください。
また、光学系や撮影条件が異なるとはいえ、背景の微光星がずいぶんと写らないことにも注目してください。
これは半値幅が3nmと非常に狭い範囲しか透過しないフィルターを使用しているためです。
鑑賞画像としてはやはり星が少ないのも寂しいものを感じてしまいます。
しかし、この性質は、NABGのCCDカメラではブルーミングしにくくなることを意味し、星雲のS/Nを非常に向上させることができることを意味しています。
また、星雲の描写自体は向上していますから、使いどころを考える必要がある、というところでしょうか。

多くの市販品では半値幅が10nm程度なので、もっと星も写ってきますしさほど深刻になる必要もないでしょう。
ただし、星雲のごく淡い部分の描写などでは3nmものに比べ劣るはずです。
画像全体の自然さが欲しいのか、それとも、誰も写していないようなごくごく淡い構造を捉えたいのか・・
Hαフィルターも選択する時代になってきたと感じます。

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