M16 Hubble Palette  オライオン30cm反射望遠鏡 with パラコア2 

M16のハッブルパレットです。
M16は、わし星雲という愛称が有名ですが、他にも、像の鼻星雲、女王星雲の愛称があります。
この美しさと気品の高さは、確かに、女王星雲の愛称に相応しいですね。

ハッブルパレットとは、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影する散光星雲は、天体観測目的から、星雲が発する特有の輝線を通すフィルターで撮影されていることがほとんどなのですが、星雲の強い輝線スペクトルである、水素ガスからのHydrogen-α(1価の水素イオンからの発光のうち、電子軌道の一番内側から基底状態に戻った時の発光)、OxygenV(2価の酸素イオンからの発光)、SulferII Naitorgen(1価の硫化イオンからの発光)を、それぞれ、波長順に光の三原色である赤・緑・青にふったカラーマッピングです。
OIIIを青、Hαを緑、SUを赤色として振り分けます。

実際には、Hα輝線は656nm、SU輝線は672nmですのでほとんど同じ赤色です。
ハッブル宇宙望遠鏡以前にも行われていたと思いますが、やはりハッブル宇宙望遠鏡での作例が強烈なインパクトがあったことから、この名称で定着したと思われます。
国内では、田中光化学工業のTaNaKaさんが、SAO合成と名づけたことから、こちらの方が定着しているかもしれません。
海外ではHubblePaletteと呼ばれているので、覚えておくと良いかもしれません。

前々から狙ってみたい被写体でしたが、5月から狙い始めると、悪天候で、これまで、なかなか3色分、揃いませんでした。そこで、今年はかなり時期尚早ではありますが、4月から狙い始め、なんとか、4晩かけて、3色分、十分な、とまではいきませんでしたが(SUがもっと欲しかったです)、なんとかデータが揃いました。
しかし、4月で、南、やや低空となると、シーイングが思った以上に悪く、切れ味、分解能という面ではやや残念な結果ではありました。
HSTが写した『創造の柱』の部分はもう少しディテールが出てくれると良かったのですが・・・

SUが弱い為、星の周りはどうしても、マゼンタの色彩になってしまいますが、本家、HSTの天体写真でも、星の色はマゼンタですから、個人的には、そのイメージを踏襲し、ヨシとしています。
この写真を撮りたいと思ったのは、HSTの画像を見て、ですからね。

そのほか、CFHTパレット(カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡)と呼ばれるカラーパレットでは、SUを青に割り振りますが、その理由は、若い星は、SU輝線が強い!という理論に基づく発想なのだそうです。
2010年だったか、2011年のCANPで、国立天文台の八木先生に教えていただきました。
こういうアマチュアだけではない交流の場になっていることも、CANPの魅力ですね。



M16 Hα Image R200SS 10分×3
M16 OIII Image R200SS 10分×12


M16の単色画像です。
Hαであれば、常識的な露出時間で充分なS/Nの画像が得られることが判るでしょう。
また非常に高コントラストな画像が得られます。
反対にOIII画像は大変淡く、長時間露光を覚悟しなくてはなりません。
梅雨のさなかでの撮影でしたが、慌てたこともあって、フォーカスも甘かったようです・・・。

M16 Hα Image タムロン300mmF2.8→F4 3分×9フレーム  

タムロン300mmF2.8望遠レンズ+HαフィルターによるM16です。
この望遠レンズは非常に色収差が大きいのですが、もちろん、単色フィルターを使用すればそのようなことは関係ありません。
F値を開放ではなく、一段絞ってF4としているのは、使用しているSBIG扱いのHαフィルターの半値幅が3nmと非常に狭いため、F2.8では斜めから入射する光に対して透過する波長がずれてしまい、肝心のHα光を反射してしまうためです。
3分ノータッチガイドで複数枚を積算しています。
意外と・・・CCDでは淡い部分の描写は苦手のようで、特にナローバンドのように背景の輝度値が極端に低くなる場合はなかなかS/Nがあがりにくいです。ダーク側のS/Nの影響も大きく受ける気がしています。
連続露出をもう少し伸ばした方が画質向上しそうです。

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