Einstein's Cross

VISAC望遠鏡 CloseUp AC No.2 ST8XME L=5分×8
アインシュタインの一般相対性理論によると重力場中の光は曲がって進むことが述べられています。
光そのものが曲がるわけではなく、大質量の周囲では空間そのものが歪められる為、結果として光が曲がると考えられています(その結果として重力が生まれるということ・・らしい・・^^;)
 
このような大質量によって歪められた空間がレンズの役割を果たし、より遠くの天体が集光されて実際では観測困難な天体がより明るく観測できることがあります。
この天然の巨大レンズが、重力レンズと呼ばれています。
理想的な光学レンズではないため、像は歪んだり、複数個に分かれたりしますが、いずれにしても、より遠くの宇宙(より遠いということは光がとどくのに時間がかかる・・・つまりは宇宙誕生の頃の歴史を探ることになります)を知りたい観測者にとっては重力レンズというのは非常に重要な現象です。
また、実際の可視光で観測されている銀河団から計算される質量と、そこからシミュレートされる重力レンズ効果の大きさ、実際に観測される重力レンズで歪んだより遠くの銀河団の形状との差異から、重力レンズ強度を割り出し、見えない質量、ダークマターの分布を探る研究も行われています。
 
さて、この重力レンズを通すことで、アマチュアの機材であっても非常に遠くの天体を捉えることができます。
そのひとつが、アインシュタインの十字架と呼ばれるクェーサーです。
その距離はなんと100億光年の遥か彼方です。
ちなみに宇宙の果ては137億光年と言われています。
 
今夏は(安定して晴れないものの)シンチレーションと透明度に恵まれましたので、アインシュタインの十字架を写してみることにチャレンジしてみました。
一応、個人的には満足。撮影しているときはあまりにも微妙すぎて、カラー画像は取得しなかったのですが、撮っておけばよかったかも・・・(^-^;)
綺麗な天体写真もいいけれど、こういうのも個人的にはとても好きです。宇宙の不思議やロマンを感じます。アインシュタインの一般性相対性理論を体現していることにも興味が湧きますし、なによりも、100億年前のかすかな光・・・・それを自らの手で捉えることができたという感動があります。
なんとか撮影できて良かったです。



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