SWAN彗星 C/2006M4
2006.9.28

タムロン300mmF2.8開放 FinePixS2Pro SC42=2分×4 

9/28未明に撮影したSWAN彗星です。
久々の晴天に恵まれ、撮影することが出来ました。
正直なところ、撮影に出かけるかどうか非常に迷ったのですが、知人から、ぜひ撮影したら見せてくださいとのメールをもらったことで気持ちが固まりました。

1時間ほど仮眠をとり、1:30に起床。
準備はしていないので慌てて準備開始。
機材は・・・ニコン200mmF2!とも思ったのですが、赤道儀に直接取り付ける仕様(具体的にはアリガタ)にしていない為、タムロン328を選択。
カメラは・・・迷わずFinPixS2Pro!
Kissデジは改造機である為、LPS-P2を入れているとはいえども、色収差を拾いやすい。
S2PROならば、これまでに実績もあり、その点の心配は要らない。
使い勝手では、Kissデジに軍配があがるのも確かですが・・・。
冷却CCDカメラも悩みました。キレ味の良さではデジカメよりも軍配があがりますし、薄明にも強いのも確かです。
とはいえ、自分のカメラでは転送に時間がかかりますし、低空のこの彗星では、薄明との戦いになり、カラー画像に出来ない可能性が高いです。また、テイルも思いの外伸びている可能性があります。そうなると、やはり撮像素子が大きなデジカメが有利です。

赤道儀を搬入して、ついでに、庭先で放置プレーでNGC891を撮像させることにして、
準備完了したのが3時前!
そこから、かつてのホームグラウンド、獅子が鼻公園へと出撃である。
自宅からは遠くなったとはいえ、道は信号もほとんどなく、一直線である。
以前、住んでいた独身寮からに比べれば距離はあるとはいえ(自宅から20km弱くらいだと思う)、3:20分には到着した。
郊外の公園だが、カシオペア〜ぎょしゃ座にかけてうっすらとではあるが、天の川も見えている。
やはり自宅とはだいぶ星の数が違う(山奥とも反対の意味で違うが・・・)。
そこから、赤道儀をセッティング。完了したのが3:35頃。
それから、カストルでフォーカスを合わせる。
東にはしし座と土星が昇ってきた。
まずは土星を基準星として、ステナビからSWANを導入・・・
あ゛あ゛ っ!
しまった、ついうっかりとしていたが、PYXISとシリアル通信が出来ないPCを持ってきてしまった。
多分、シリアル設定(とりわけ通信速度がアヤシイ)が悪いのだろうが・・・。まづい。そんなものを見直している暇はない。
かといって、PCを取りに戻る時間なんてもちろん、ない。
一瞬、愕然とした。だが・・方法がないわけではないことにすぐに気づく。
PYXIS単独使用でやるしか・・・ない。
PYXISは単独で自動導入できるのだが、これまでに使用したことは数回しかない。
取り説も今回持ってきていないので、恒星データは使用できない。幸いその点は土星を基準星としようとしているので問題はないが・・・
試行錯誤の末、なんとか基準星を指定。
彗星もダイレクト入力のコマンドをPYXISが持っていたおかげで赤経・赤緯を直接指定して導入することが出来た。
ほっ。まずは一安心。
時刻は・・・4時!

最初、ISO1600設定、30秒露出で確認した際は、正直なところ、がっかりした。
ボクはこんなものの為に、ここまで来たのか・・
とはいえ、まだまだ地表に近いところ。もしかしたら高度が上がればもっと写るかもしれない!
と、思い直し、構図を決めて撮影にはいる。
露出は2分とした。インターバルは1分である。これは連続撮像により、撮像素子が加熱するのを防ぐために常にインターバルとして1分開けている。効果があるかどうかはわからないが(笑)
刻一刻と薄明が進行し、東の空は白んでくる。
その一方で、彗星は高度を増し、4:20分前後には、2分露光でちゃんとテイルが写っていることがデジカメ背面液晶で確認でき、ほっと一安心。
実に彗星らしい姿で、来てよかったと感じる。
しかし、薄明も進み、4:30には彗星がだんだん薄明でかき消されていくのも分かった。
わずか10分しか撮影の余地がなかったということですね。
なんにしても無事撮影ができてほっとしたところ。
あとはダークをこの後に4枚撮影。少しおいて、フラットも撮像する。
せっかく、貴重な画像が記録できたのだ。手を抜いてせっかくの情報を生かせないという事態は避けたい。

5:17。片づけを完了し、獅子が鼻公園を後にした。


一番上の画像に強力な処理を施してみたところ、淡いながらもこの写真をはみ出さんばかりのテイルが伸びていました。


2006.10.25

タムロン300mmF2.8開放 ST7Custom SC42 L(IRC)=3分×2 R=3分 G=3分 B=3分

10月以降、彗星は西空の方が撮影条件が良くなっていましたが、
正直なところ、夕方の彗星というのは、撮影が難しく、またこの彗星の場合、近日点通過を過ぎていたため、
改めて写すことはないだろう・・と思っていました。

ところが、この日、アストロアーツのNewを見たら、SWAN増光!の記事が!!
4等級とのこと。
こ、これは撮りたい。
仕事もそこそこにほぼ定時で切り上げ、速攻で帰宅する。
透明度も良く、狙うならば今日しかない。
この時期は17時でもすでに日は沈んでしまう。時間は・・ほとんどない。
遠征するにしても、西空の条件が良いところは渋滞も考えられ、間に合わないかもしれない。
幸い、自宅からでも家と家の間だから写せそうである。

と、いうわけで、自宅から撮影となった。
彗星は明るく、また、見事な太いテイルを引いていました。
ただ、西空の光害の為に、残念ながら長く伸びているであろうテイルは写せず仕舞い。


FL-80S蛍石屈折望遠鏡 withレデューサ SXV-H9 2分×8
タムロン300mmF2.8開放 ST7Custom SC42 L(IRC)=3分×2 R=3分 G=3分 B=3分
2006.10.26

10月26日に撮影したSWAN彗星です。
前日の撮像で、広角撮影は苦しいこと、テイルが複雑な構造を持っていることが判りましたので、
今回は、テイル付近をアップしてみました。
と、いっても、FL80Sですので、焦点距離は448mm程度ですが・・
それと同時に、タムロン328でも狙いましたが、やはり、光害と薄明があると、フラット処理が難しく、背景にムラを生じてしまいました。


2006.10.27

FL-80S蛍石屈折望遠鏡 withレデューサ SXV-H9 2分×9

昨日に比べ、テイルが細く、暗くなってしまった様に感じますが、とはいえ、まだまだ見事なテイルを引いています。
かなり長いテイルを引いているそうで、出来れば遠征して撮影してきたいところですが・・・
月がジャマになってきていますし、さて・・。


2006.10.29

タムロン300mmF2.8開放 ST7Custom SC42 L(IRC)=3分×2 R=3分 G=3分 B=3分

10/26撮像時と同じ装備での撮影ですが、明らかにテイルも彗星自体も小さく、暗くなってしまいました。
かなり沈静化してきたようです。
そうはいっても、まだまだ、テイルは淡いながらも、この写真をはみ出すくらいに伸びています。


2006.10.30

Nikon 200mmF2開放 ST7Custom SC42 L(IRC)=3分×3 R=3分 G=3分 B=3分

200mmF2開放でテイルを主体に狙ってみました。
とはいえ、すでにテイルは淡く、また、月明かりの影響もあり、写りは決して満足のいくものではありません。
極力ムラを排除する為、シェーディング補正を行っていますが、まだムラが残っています。

テイル自体は淡いながらも、やはり画角をはみ出すほどに伸びています。


2006.11.8

Nikon 200mmF2開放 CV-16E SC42 L(IRC)=3分×4

すっかりと小さく、暗くなってしまいました。
テイルもかすかにまだ伸びているのが判りますが、イオンテイルの長さはだいぶ短くなり、ダストテイルの方が目立つ様になりました。

これでこの彗星も撮り収めかなと思いますが、やはりバースト時に暗い空の下で撮影しなかったことは大きな失敗でした。
かなり見事な被写体となった様です。

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