池谷・張彗星です。
テイルがすでに出ていることを知り、早速というかようやくというか撮影を試みました。
寮の自室の前から撮影できるのではないかと、定時で速攻で帰宅・撮影準備を行いました。
目標はくじら座の尾のあたり。ちょうど植木と電信柱の間から撮影できそうな位置です。
過剰な冷却は結露するおそれがあったため、-15℃の必要最低限とし、また、ガイドに関しても、自動ガイドで対処すべく、F値が明るいR200SSを使用しました。
薄明が残る中、Pyxisの自動導入を頼りに導入を試みますが、まず、基準星を導入しなくてはなりません。
目印になりそうなのは、くじら座β星、デネブカイトスです。それらしい星は・・と。すぐにオレンジ色の星を見つけ、設定。自動導入で、一気に池谷・張彗星へと向けます。が、いない。
望遠鏡をふって付近を探しますが、いません。
まだ望遠鏡では見えないのか・・?
と、薄明が残る空を見上げ、奇妙なことに気づきました。
デネブカイトスと思い基準にした星が北によりすぎていると感じたのです。
まさか・・火星か!!
慌てて基準星を設定しなおし、自動導入を試みます。
あ、いたいた。今度はしっかりと視野の中心付近にぼんやりとした淡い光芒を見ることができました。
まだ、眼視では尾はよく判りませんでしたが、冷却CCDカメラで捉えてみると、淡いながらもテイルを引いているのが判りました。
彗星の頭を中心にしてしまったため、構図を変えたいという欲求にかられましたが、位置が西に低すぎる。
昨年のLINEAR彗星(2001A2)よりもずっと低い位置です。
いつ、邪魔者(電信柱・電線)にかかるかわかりません。無理に構図を変えて、2,3分ロスするよりもこのままとり続けた方がベターと判断し、そのままとり続けました。
彗星は、ご覧の通り、淡いながらも複雑な尾を引いており、彗星らしい美しい姿をしています。
これからが楽しみな彗星です。
昨日に引き続き池谷・張彗星の撮影です。
尾の形は昨日とは激変しており、明るく細く延びる尾が印象的です。
この日は眼視では見なかったのですが、もし、眼視で見ていたら、20cmの集光力であればテイルを見ることができたかもしれません。
このように、イオンテイルは、1日経つとまるで別の彗星のように激変します。
彗星との出会いはまさに一期一会です。
昨日の明瞭な尾は無くなってしまいましたが、相変わらず複雑なテイルは健在です。
長さもこの画像では収まりきれません。1度以上の延びているのではないでしょうか。
2月15日の池谷・張彗星の姿です。
撮影は、ST7Eの連続撮影機能を利用し、1分露光を複数枚撮影しているのですが、今回は、途中で、シャッターエラーが生じ、途中で止まってしまいました(相変わらずトラブルの多い機材です・・・)。そのため、星に切れ目が入ってしまっています。
もう一カ所の切れ目は、途中で電線が通過したフレームをコンポジットしなかったためです。
5日ぶり、2月20日の池谷・張彗星です。
彗星の位置もだいぶ北西に低くなってきたようで、望遠鏡をセットする位置も悪かった上、慌てて準備したため、
鏡筒バンドの止め方がゆるく、風も強かったjので、最初、何枚もブレている画像を撮ってしまいました。
そうこうしているうちに、電信柱が画面を横切り、結局得られた画像は5枚のみというていたらく。
さすがに、そのままでは画像のS/Nが悪かったため、ステラ3のソフトウェアビニングを使用し、画像処理しました。
テイルは相変わらず淡いですが、コマはずいぶんと明るくなってきた印象です。
それにしても見事な尾です。
やはりtypeTのイオンの尾だとは思いますが、美しい構造が描写できて満足です。
これで、カラー画像もうまくできればいうことなしだったのですが・・・。
R200SSで撮影した池谷チャン彗星です。2月に撮像したものと比べるとずいぶんと大きくなりました。
また、300mmで撮像したものと比べ、イオンテイルの詳細が写し込めています。
やはり、詳細を写し込むにはこの程度の焦点距離が欲しくなります。
しかし、ご覧のように、800mm+ST7Eでは彗星の頭部付近しか写し込めず、もっとサイズの大きいCCDチップが欲しくなります。
これまで時間的な制約から、悪条件下での撮影を続けてきました。
そのため、電線が写り込むこともしばしば、でしたが、今回は天竜川の河川敷まで出かけての撮影です。
ところが、せっかく出かけたものの、準備(特に極軸合わせ ^^;)に手間取ってしまい、撮影できたのは20時前!
低空に雲もあるようで撮影できたのはほんのわずか数枚でした。
イオンテイルだけでなく、ダストテイルも伸びてきたようです。
ST7Eでは300mmでも画角が狭いです・・・。
長くテイルが延びている様を写したいと思い、今回は50mm標準レンズを用意しました。
50mmは恐らく、へールボップ以来の使用となります。
彗星の長く伸びるテイルをなんとか捉えることができました。
まだまだ延びていて収まり切れていないようですが・・・。サイズの小さいCCDチップではいかんともしがたいですね・・・。
撮影は、開放で狙いましたが、光害がひどく、辟易させられました。
薄雲がたなびいていたようで、そのせいもあるのでしょうが・・。
おかげでカラー画像はイマイチわざとらしいものになってしまい、残念です。
光害フラットではフィルターごとにだいぶ現れ方が異なるため、各色ごとにキッチリ撮影しておかなくてはうまく補正できないようです。
それと、明るい星の周りにハロが生じています。
薄雲のせいかもしれませんが、恐らく、光学系側でしょう。
それと写りこんでいる黒い影が本当に雲かどうかも疑問が残ります。
と、いうのも今回、光害フラットを用いていますが、フラット側にも星が写り込んでいました。
そこで、コンポジット−メジアン合成を行ったところ、見た目には星は消えていたので安心して使ったのですが、そのせいかもしれません。
もっとも、別に撮影したM42に、そのフラットを適用しても影は現れませんでしたから、問題はないようにも思うのですが・・・。さて・・?
いろいろと難しいですね。
それにしても、風が強く、寒い日でした。
そのわりには、CCD冷却温度は−15℃での撮影です。
結露させるわけにはいかないしね。安全をとっての温度設定というわけです。
M33に接近するというので、50mm標準レンズでその様子を狙おうと思ったのですが、押し寄せる雲に阻まれてしまうところでした。
この画像は幸いにも雲が切れた僅かな時間に連続撮影で捉えることができました。
彗星は相変わらず明るく長いテイルを見せています。が、M33は画像中央上にかすかーに写っているにすぎません。
逆にいえば、池谷チャンがそれだけ明るく大きいわけです。デジカメでも綺麗に写るわけです。
だいぶ西空に低くなってきました。そろそろ、明け方の条件の方が良くなってきます。
夕方では最後の撮影になると思います。
さて、今回は、2画面接続を行ってみました。彗星自身が動いているので、彗星の頭部でコンポジットを行うのが通例なのですが、テイル側では基準がありません。恒星基準でのコンポジットです。ちょっと妙な感じになってしまいました。
本来ならば、彗星核追尾やメトカーフガイドなどを行わないとダメですね。
それと、低空であるため、スカイレベルの変化の影響も受けて、切れ目が判ってしまいます。
フォトレタッチソフトでもっと丁寧に合成すれば切れ目をなくすことも可能ですが、今回はそのままです。
淡く伸びているテイルはtype1のイオンの尾でしょうか。
もう少し、よく写ってくれれば良いのですが、低空で透明度も悪とくれば仕方ないか・・。
いかなCCDといえど、やはり、空の澄んだところに出かけなくてはいけないですね。
池谷チャン彗星とアンドロメダ大星雲とのツーショットです。
2時に目覚ましをかけて、起きてみたのですが、薄雲が全天を覆っていました。
こりゃダメだ。と、布団に戻ったのですが、西空がクリアーな空だったのが気になり、も、一度3:30に外に出てみると、東には雲が残るものの、晴れ間が広がっていました。
しかも、ここのところの黄砂による晴れているのだか曇っているのだか判らないような空ではなく、澄んだ美しい星空が広がっていました。
あわてて東の開けている天竜川河川敷まででかけ、セッティング。
しかし、残念ながら、東に残った薄雲は最後までとれなかったようで、薄雲の中での撮影となりました。
また、思っていた以上に低空で薄明ぎりぎりでした。
画面左下の黒い影は、木で、いかに低空だったが判ると思います。
アンドロメダ星雲の広がりが写しきれなかったのは残念ですが、それでもなんとか捉えることができてよかった。
彗星もまだまだ健在で、ダストの尾とイオンの尾のどちらも見事です。
透明度が最悪で晴れているのか曇っているのか判らない状況での撮影でしたが、彗星の高度があがってきたおかげで、低空の光害の影響も受けなくなり、ようやくまともなカラー画像を作成することができました。
本当は、彗星が移動しているので、彗星を基準にしてコンポジットをした方がいいのですが、三色分解では、星の色ズレが原色に現れてしまい、目障りです。そこで、ここでは恒星基準でカラー合成しています。
なお、この日に撮影した画像を動画にもしましたので、ムービーアルバムの方も覗いてください。
ただ、300mmという焦点距離は短すぎました。期待したイオンテイルの変化は捉えられず残念です。
天候が相変わらず悪いためなかなか撮影の機会がありませんでした。
彗星はまだまだ大きいものの、その姿はすっかりと淡くなってきています。
それでもまだ、イオンテイルでしょうか、画像下に向かって細いテイルを伸ばしています。
これが池谷・チャンの最後の撮影になりました。
冷却CCDカメラによる肉眼彗星撮影の難しさを痛感させてくれた彗星でした。
やはり、視野が狭いのが決定的に不利なこと、美しいカラー画像をどうやって取得するか、町中での撮像では低空での強烈な光害をどう除去するか・・・etc
反面、激しく変化するイオンテイルを動画によって表現するという新しい可能性を示してくれた彗星でもあります。
イオンテイルアニメーションは結局出来ず仕舞いでしたが、次に来る彗星ではチャレンジしたいと思います。