Phase Shiftによるノイズリダクション効果


FinePixS2Pro 感度設定:ISO400,CCD-RAWで保存。外気温:約14℃ 露出時間:5分×1枚(Original),5分×2枚(ステライメージ4にてPhaseShift処理)

以前に星ナビ誌に掲載していただいた際は、真冬ということもあり、
充分低ノイズであったため、いまひとつ効果がはっきりとしませんでした。
今回、だいぶ気温も上がってきたため、5分も露光するとかなりの暗電流ノイズが発生してしまいました。
そこで、PhaseShiftによる画像合成を行ったところ、その効果は明らかで、感動的ですらあります。
もともとは、D100などのノイズリダクションを装備した機体に対抗すべく考えた手法だったのですが、これならばノイズリダクションがないことを嘆く必要もありません。

暑い夏場もこれで安心して撮影できます。
でも、できればなるべく涼しいところ、、、標高の高い山など外気温が下がるところで撮影した方がいいことは言うまでもありませんね。

なお、フェイズ・シフト(PhaseShift)、波面補償光学系(AO)関係の用語にあるとのご指摘を頂きました。
この手法はもちろん、そのような高尚なものではありません。

ちなみに、この対象は、NGC4435,NGC4438です。



■PhaseShiftの実行方法

簡単に説明をしておきます。S2proはもちろん、他のコンパクトデジカメでも効果があると思いますので、ぜひ活用してください。

−撮影時の処理−
@まず最初に1枚通常に撮影します。
A2枚目の撮影に入る前に、赤道儀の微動ボタンで若干動かします。(赤経方向が良い?)
B2枚目の撮影に入ります。
C3枚目の撮影の前にやはり若干赤道儀を先ほどとは逆方向に動かします。
これは、画角をシフトさせることで、コンポジット時の画像のズレを最低限に止めるためです。
D以下同じ。

なお、4枚撮るとして、先に2枚撮影してから、残り2枚を移動させて撮影!
という方が手間は少ないのですが、どうも、天体の高度変化・時間変化による背景光の変化により、S/Nを損ねてしまったり、あまりに背景光が変化してしまうとうまくノイズリダクションできないことすらあります。
1枚ずつシフトさせて撮影する方が良いようです。

シフトさせる方向を赤経方向に限定しているのは、オートガイダ併用の場合、バッククラッシュを考えると赤緯方向を不用意に動かすのはあまりよろしくないように思えたからです。
なお、当たり前ですが、PhaseShiftに用いる画像の露光時間は同じでなくては意味がありません。

−画像処理−
@画像1枚目と2枚目をステライメージ4、もしくはPhotoShopにロードします。
Aステライメージ4であれば、
基準点を決めて、2枚の画像の位置合わせを行うようにしてから、
『合成』−『コンポジット』で『合成方法』に『暗い方』を選択し、実行します。
なお、レベル調整した値を使うのチェックは外しておいた方が良いでしょう。

あらかじめ、レベル調整で背景ノイズが判るように整えておけば、ノイズがとれてすっきりとする様が目に見えてはっきり判ります。

PhotoShopであれば、レイヤーを用い、画像の位置合わせを行った後、比較(暗)にて合成を行えば良いでしょう。
これまで行われていたレイヤーダーク補正などよりもスッキリとノイズが取れることと思います。
どうせ同じ時間ダーク画像を撮るよりも、シフトさせるとはいえライトフレームを撮影した方がいいよね(S/Nの向上は通常の加算平均の半分だそうです。とはいえダーク補正ではS/Nが向上するわけではありませんし)

なお、A,B,C,Dと4枚画像を撮影したとして、
A,BとC,DでそれぞれPhaseShift合成を行い、暗電流ノイズを除去し、ノイズ除去した画像同士は、加算もしくは加算平均で合成を行ってください。

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