狭帯域フィルター アルバム
散光星雲や惑星状星雲は星からの紫外線を受け、ある特定の波長で輝きます。
これを輝線(禁制線)といいます。
星からの紫外線で電離したイオンの基底状態にある電子が自由電子と衝突して準安定状態と呼ばれる状態に励起された後、再び元の準位に戻る時に放出する光です。
中性原子の状態では、例えば、OIというようにギリシア文字のIをあてがいます。
1価のイオンの状態ではOU,2価ではOVという具合です。
皆既日食で見られる真珠色のコロナは、Fe]Wです。
ちなみに水素のバルマー系列からの光(Hα,Hβ,Hγ,Hδ)は再結合線と呼ばれます。
紫外線を受けて電離した電子は、再び原子と結合して基底状態に戻ります。
この時に、高いエネルギー準位から低いエネルギー準位へと順に落ちていきます。
その時に放射される光が輝線として観測されるわけです。
さて、これらのフィルターを通して写すと同じ天体でもまるで違う星雲のように形状が変わってみえます。
そこがアマチュアとして、この種の特殊フィルタを用いた天体撮影の楽しみといえるでしょう。
見知った天体がまったく異なる天体のような姿を示すのですから。
また、星雲が放つ強い輝線を透過させるHαフィルターやOIIIフィルターなどでは天体の構造を強調し、コントラストや階調性を向上させ、星雲を明瞭に写し出す効果もあります。
星雲が放つ輝線は様々な種類がありますが、アマチュアが撮影可能なのは強度が強いものに限られます。具体的にはHII,OV,SU,HeUの4種類になると思います。
ここでは、私がこれらのフィルターで撮影した天体をまとめてみました。
対象 | 光学系 | 使用フィルター | 備考 |
M1 | R200SS | Hα,OV,SU | |
NGC281 | 100SDUF | Hα,OV,SU | |
M16 | R200SS,300mmF2.8望遠レンズ Orion30cm反射望遠鏡 |
Hα,OV,SU | |
M17 | 300mmF2.8,FL-80Sレデューサ Orion30cm反射望遠鏡 |
Hα,OV,SU | |
M81 | R200SS | Hα | |
M82 | R200SS | Hα | |
M51 | R200SS | Hα | |
M57 | MT160,R200SS | Hα,OV,HeU | |
M27 | R200SS VISAC イプシロン200 |
Hα,OV,HeU | |
M8 | VISAC+AC-2 | Hα,OIII,SII | |
NGC7662 | VISAC+AC-2 | Hα,OIII,HeII | |
IC5146 | 100SDUF | Hα,OIII,SII | |
IC410 | MT160レデューサ | Hα,OIII,SII | |
NGC6992 | VISAC+AC3+AC2 | Hα,OIII,SII | |
NGC7635 | イプシロン200 VISAC+AC3+AC2 |
Hα,OIII,SII | |
NGC7293 | VISAC+AC2 | Hα、OIII | |
M42 | VISAC+AC2,MT160 | Hα,OIII,SII | |
IC434 | FL-80Sレデューサ | Hα,OV,SU | |
IC1805 | ε200 300mmF2.8,MT160+レデューサ |
Hα,OV,SU | |
NGC7830 | イプシロン200 | Hα,OV,SU | |
IC405 | タムロン328 | Hα | |
CygnusX-1 | イプシロン200 | Hα,OV,SU | |
ばら星雲 | イプシロン200 | Hα,OV,SU | |
モンキー星雲 | イプシロン200 | Hα,OV,SU | |